今般、顧客との契約から生じる収益に関する包括的な会計基準として「収益認識に関する会計基準」が導入され、会社法上の大会社や上場会社等を対象に適用が開始されています。中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められるため、取扱いが変更されるものではありませんが、上場企業の子会社等,同基準による影響を少なからず受けている会社もあります。長期割賦販売等に係る延払基準の廃止もそのひとつです。
長期割賦販売等の延払基準とは、分割払いによる商品の販売のような、支払回数が3回以上である等の一定の要件を満たす長期割賦販売等を行った場合において、その事業年度に支払期限が到来する対価の額に対応する部分の収益・費用を計上することができる基準をいいます。従来は、これが認められ、支払期限が到来する前の対価の額に対応する部分の利益を繰り延べる処理が認められていましたが、「収益認識に関する会計基準」の適用後は割賦利益額について処理が必要となります(リース譲渡は除かれます)。
平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人は,令和5年3月31日以前に開始する各事業年度中,従来通りの「延払基準」を適用することができます。
この経過措置は,延払基準の方法による経理が要件となっているため,「収益認識に関する会計基準」を適用したタイミングで取り止める事になります。経過措置の適用をやめた場合,繰り延べていた未計上収益額と未計上費用額は,その経理しなかった決算に係る事業年度の益金及び損金の額に一括して計上しますが、「未計上収益額が未計上費用額を超える場合」には,その経理しなかった決算に係る事業年度以後の各事業年度において10年均等で益金及び損金の額に算入することとされています。会計と税務で差異が生じるため別表調整が必要となりますが、会計上も利息の認識方法が変わるため、適用前と適用後で利息の発生状況が異なるため、将来の業績予測にあたっては、改正による影響額を考慮する必要があります。
なお、この10年均等取崩しは,「未計上収益額が未計上費用額を超える場合」に必ず適用しなければならない処理ではなく、10年均等取崩しには,その経理をしなかった決算に係る事業年度の確定申告書に,その適用により益金及び損金の額に算入される金額の申告の記載をすることが必要とされていますので,原則の一括計上と10年均等取崩しは法人が任意に選択できます。いずれを選択するかで消費税の認識・測定にも影響が及びますので、注意が必要です。
京都本部 坂口
◆ネットジャーナル
日銀短観(6月調査)予測
~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント下落の12と予想、注目は仕入・販売価格の上昇度
ロシアGDP(2022年1-3月期)
~減速したものの、プラス成長は維持
◆経営TOPICS
労働経済動向調査
(令和4年5月)の概況
◆企業経営情報レポート
自社独自の「価値」を生み出す
中小企業の
ブランディング戦略
◆経営データベース
取締役の義務
監査役の立場と責任
https://www.yu-wa.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/07/7705f18bed1f2da6f62c35035155ece4.pdf
◆安易な人件費削減で、不採算事業を存置させた
◆1人あたり人材投資額(米国1000ドル、日本3万5千円)
◆転勤廃止の動きの根底にある3点
https://www.yu-wa.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/07/1265.pdf
今回は賃上げ促進税制のご紹介をさせていただきます。
賃上げ促進税制は中小企業者等が前年度より給与等を増加させた場合にその増加額の一部を法人税または所得税から税額控除できるものとなります。
賃上げ促進税の適用要件は以下となります。
適用要件
雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加
この要件を満たすのに加えて上乗せ要件を満たせば控除率が増加します。
上乗せ要件①
雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加
上乗せ要件②
教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加していること
上記要件は①と②それぞれどちらかを満たすだけでも控除率が上昇します。
税額控除額(基本)
控除対象雇用者給与等支給増加額×15%
これが基本となり、そこに上乗せ要件を満たすことで上乗せ要件①を満たせば15%、上乗せ要件②を満たせば10%がそれぞれ加算され、最大で40%まで控除を受けることができます。
ただし、上記控除額はその期の法人税額の20%までが上限となっております。
上記が中小企業者等に向けた賃上げ促進税制となります。
一方で大企業に向けた賃上げ促進税制は以下となります。
適用要件
継続雇用者給与等支給額が、前事業年度より3%以上増えていること
上乗せ要件①
継続雇用者給与等支給額が、前事業年度より4%以上増えていること
上乗せ要件②
教育訓練費の額が、前事業年度より20%以上増えていること
税額控除額(基本)
控除対象雇用者給与等支給増加額×15%
こちらも同様に上乗せ要件①を満たせば10%、②を満たせば5%控除率が上乗せされ両方を満たせば最大30%控除することができます。
控除限度額は中小企業者等同様にその期の法人税額の20%までとなっております。
物価高にあわせまして従業員の給料の増加などを検討されている場合はこのような税制の利用も検討してみてください。
京都本部 近藤
◆ネットジャーナル
中国経済の見通し
~岐路に立つコロナ政策、22年は4.2%と予想も、下方リスクが燻ぶり、ポジティブ・サプライズもあり得て、目が離せない
消費者物価(全国22年4月)
~コアCPI上昇率は、消費税引き上げの影響を除くと08年9月以来の2%台
◆経営TOPICS
月例経済報告(令和4年5月)
◆企業経営情報レポート
ニューノーマル時代に適応
中小企業のDX戦略
◆経営データベース
口コミマーケティングの重要性
口コミマーケティングの効果を高める方法
https://www.yu-wa.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/06/k775.pdf
◆日本のものづくりは解体の危機
◆DX成功に6要素が必須
◆引き継ぎ役は「サーチャー」
https://www.yu-wa.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/06/keieisya_1261.pdf
ゴールデンウイークはいかがお過ごしになりましたか。
3月決算今月申告の法人様で、早速大忙し!な方も多いのではないでしょうか。
同時に、今月は事業復活支援金の申請締め切りにもなっております。
皆様も既にご存知かとは思われますが、以下概要になります。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、
2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、
2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月の売上高と比較し、
50%以上または30%以上50%未満減少している事業者が対象となります。
それによる減少率に応じた給付上限が以下になります。
個人事業主
50%以上 50万円 30%以上50%未満 30万円
法人
50%以上 100万円~ 30%以上50%未満 60万円~
※法人の場合、売上規模により上限が変わります。
実際に給付となる金額につきましては、
シミュレーションがありますので、事前に入力してみることをお勧めします。
(参照;https://jigyou-fukkatsu.go.jp)
申請期限自体は5月31日(火)となっておりますが、
申請には5月26日(木)までの登録確認機関による事前確認が必要となりますのでご注意ください。
登録確認機関によっては予約が必要となる恐れもあり、また申請書類も様々ございますので、お早めにご準備いただけると宜しいかと思われます。
それでは、少しぼんやりしがちな5月ですが頑張りましょう(‘ω’)ノ
茨城本部 渡辺
◆ネットジャーナル
Weeklyエコノミスト・レター要旨 2022年2月16日号
2021~2023年度経済見通し
(22年2月)
米住宅着工・許可件数(22年1月)
~着工件数、許可件数でマチマチの結果
◆経営TOPICS
全国小企業月次動向調査
(2022年1月実績、2月見通し)
◆企業経営情報レポート
企業を取り巻くリスクが経営に与える影響
リスク対策に必要となるリスク分析と評価
リスクマネジメント推進体制構築のポイント
項目別リスク対応策
◆経営データベース
無断欠勤した職員の解雇
既往症を告知しなかった従業員の解雇
https://www.yu-wa.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/05/643f398ebf5152837569d817b5ebf908.pdf
◆中興の祖の3 つの能力
◆学を廃すべからず(佐藤一斎)
◆非財務情報の開示度合いが企業を左右する
https://www.yu-wa.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/05/keieisya_1257.pdf
確定申告で土地、建物の譲渡による所得税が多く発生した方もいたかと思われます。
でも中には、居住用でもなく、賃貸しているわけでもないような「こんな土地や建物あったっけ?」みたいな土地や建物を譲渡された方もいたかと思います。
このような土地建物を譲渡した場合には一定の要件のもと低未利用土地等の譲渡により、100万円の特別控除が可能となっております。
提出書類は以下の要件を充たした
・売買契約書
・各市町村で発行する低未利用等の譲渡証明書(譲渡人が申請)
を確定申告書に添付すれば特別控除が可能となっております。
要件(以下国税庁HPより抜粋)
1)売った土地等が、都市計画区域内にある低未利用土地等である。
(注)低未利用土地等とは、居住の用、事業の用その他の用途に利用されておらず、またはその利用の程度がその周辺の地域における同一の用途もしくはこれに類する用途に利用されている土地の利用の程度に比し、著しく劣っている土地や当該低未利用土地の上に存する権利のことをいいます。
(2)売った年の1月1日において、所有期間が5年を超えること。
(3)売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。特別な関係には、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
(4)売った金額が、低未利用土地等の上にある建物等の対価を含めて500万円以下であること。
(5)売った後に、その低未利用土地等の利用がされること。
(6)この特例の適用を受けようとする低未利用土地等と一筆であった土地から前年または前々年に分筆された土地またはその土地の上に存する権利について、前年または前々年にこの特例の適用を受けていないこと。
(7)売った土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど、他の譲渡所得の課税の特例の適用を受けないこと。
未利用の土地建物を譲渡された方は忘れずに利用しては如何でしょうか?
茨城本部
大河原