現代社会で生活するうえで切っても切り離すことができない税金。自己所有の家に住んでいれば固定資産税、自動車を所有していれば自動車税、もちろん毎日のお買い物で支払っている消費税など、私たちの周りには様々な、そして数多くの税金が存在しています。
『あなたは税金を滞納したことがありますか?』大多数の人は、この質問に対しノーと答えると思います。それは、税金には納期限なるものがありこの期限までに納めなければならないというルールがあるからです。
では、うっかり支払うのを忘れてしまいこの納期限までに支払うことができなかった場合どうなるのでしょうか。以下に、個人事業を行っていて所得税の支払いをうっかり払い忘れてしまった人(以下、Aさん)のケースを見ていきます。
まず、所得税の支払いを忘れてしまったAさんのもとには、税務署から所得税の納期限から50日以内に催促なる督促状が届くようになっています。ここで、すぐに支払えばめでたしめでたしなのですが、税務署がこの督促状を発した日から10日を経過した日までにAさんが所得税を支払わない場合には、いよいよ財産の差押えが始まってしまいます。(税務署が督促状を発した日から期限がカウントされてしまうので手許に督促状が届くまでにタイムラグが発生してしまうのを注意しなければなりません。)
ただ、差押えにもルールがあり金目の物であればどれもこれも没収されるわけではありません。差押えが禁止されている財産というのも定められていて、例えば、Aさんが生活するうえで必要な衣服や家具、Aさんの事業を行う上で必要な仕事の道具、Aさんの事業や生活に欠かすことが出来ない実印など、最低限事業、生活を行う上で必要な物は没収されません。これらを没収してしまうとAさんは収入を得ることが出来なくなってしまうからです。ただし、生活に必要でも自己所有の家や自動車などは差押えの対象となるので注意が必要です。他にも、仏像や位牌、Aさんに子供や親族がいた場合のこれらの人の学習に必要な書籍や道具なども差押えが禁止されています。
話しが変わるのですが、仮にAさんがサラリーマンで住民税を滞納し差押えを受けたとします。この場合、当然給与が差押えられてしまうのですが、この給与についても源泉徴収される所得税に相当する金額、Aさんが暮らしていくのに必要な最低生活保障費に相当する金額についても見逃してくれます。
以上の通り、税金をうっかり払い忘れてしまい差押え手続きがはじまってしまうと非常に厳しい処分が下されてしまいます。もし、資金的な関係で税金を支払うことが難しいときや、うっかり払い忘れてしまったときは早めに税務書に相談するのが良いのかもしれませんね。
東京本部 井上 賢亮