2018年の漢字は「災」(わざわいのさい)の字が選ばれました。それだけ今年は「災害」を思い起こす人が多かったのでしょう。各地で地震や台風による大きな爪あとが残った一年でした。何十年や何百年に一度にしかなかったような災害が、毎年のようにそして各地で起こるようになってしまいました。
税制上の救済措置としては、災害減免法という法律が有名ですが、減免法が適用されるような大きな被害ではない場合でも、所得税の控除が受けられる制度があります。「雑損控除」という制度です。これは、生活に通常必要な資産が災害等により損害を受けた場合に、所得から控除を受けられる制度です。事業用資産であれば、その損失は事業所得の計算上、必要経費になりますが、自宅や家財、自家用車などの損害についても、この雑損控除で控除が受けられるということです。「雑損控除」の金額は、その損失額が所得の一定割合を超える部分の金額又は「災害等に関連して支出した金額」が5万円を超える部分の金額について控除が受けられます。「災害等に関連して支出した金額」とは、損壊した資産の現状回復のための費用などが該当します。
例えばサラリーマンの方が自宅に被害を受け、5万円以上の修理代を支払ったような場合も対象となるケースがあるということです。
また、生計を一にする親族の資産であっても、その親族の所得が年38万円以下であれば、控除を受けることが可能です。例えば親名義の家に居住しており、子が生計を立てている場合など、親名義の資産に関する損失について、子が雑損控除を適用するというケースが考えられます。雑損控除を受ける場合は、確定申告書にその領収書を添付又は提示する必要がありますので、領収書を保存しておくといいでしょう。
災害がより身近になってしまった昨今、雑損控除の適用が増えてしまうことは喜ばしいことではありませんが、受けた損害について利用できる制度は利用したいものです。
京都本部 吉川