令和6年度税制改正で、賃上げ促進税制が強化されることとなりました。
法人の場合、令和6年4月1日開始事業年度から適用されますので、3月決算が終わり、新年度がスタートしたばかりのこの時期に、主要な改正点のポイントを押さえていただければと思います。
最も大きな改正点は、繰越控除制度が創設されたことです。
従来だとその事業年度の決算が赤字で、納税額がなかった場合、賃上げの条件を満たしていても、税額控除が受けられませんでしたが、今回の改正により、その年度に控除しきれなかった金額について、5年間の繰越しが可能となりました。
これは即ち、今までは赤字である場合、賃上げ税制の検討もせず、決算を組んでいたケースが多かったと思いますが、5年間の繰越しができる以上、将来、黒字転換した時に備えてこの制度の適用を検討することが必須になったといえるでしょう。
また今回の改正では、
・「子育てサポート企業」として一定の条件を満たし厚生労働大臣の認定を受けた場合
・女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業として厚生労働大臣の認定を受けた場合
このいずれかを満たすことで税額控除率が5%上乗せされるという要件も新設されました。
また、従来からある上乗せ要件である教育訓練費の増加についても、中小企業者の場合、前年度比+10%から+5%に緩和されました。
ただし同時に、教育訓練費が給与の額の0.05%以上であることも要件に追加されました。
これは教育訓練費があまりに少額である場合でも、上乗せの対象になることを防止する意味があるのでは、と思います。
この改正により、中小企業者が前年度比+2.5%の賃上げを達成し(30%)、教育訓練費の上乗せ要件もクリアし(+10%)、さらに子育て支援or女性活躍支援のいずれかで厚生労働大臣の認定を受けた場合(+5%)、最大で賃上げ額の45%が税額控除されます。
この制度の適用を受ける前提で、積極的に賃上げに取り組んでみられてはいかがでしょうか。
京都本部 良川