日本には土地を放棄する制度がありませんでした。
農村部や都市部でも郊外では過疎化がすすみ、
相続を繰り返す度に誰も引き受けず、登記もされない土地が増えています。
すでに所有者不明土地の面積は九州より広いと言われています。
もちろん、厳密には所有者はいます。
登記されていなかったり、管理されていなかったりで誰かわからない。
おそらく、候補がなん十人といるかも、そして、全員が自分ではないと主張する
であろう土地という意味です。
民法には、土地を管理する義務があるとされています。
たとえ、相続放棄をしたとしても、次の管理者が現れない限りその義務は逃れられません。
そこに大きな転機が訪れました。
4月27日に「相続土地国庫帰属制度」が施行されました。
管理費用10年分と言われる原則20万円を負担すれば国に返還できるわけです。
審査に時間がかかりますが、すでに相談件数が増えているようです。
思い出の実家や墓地だけ残し、山林や休耕地を放棄する。
田舎を故郷にしている人にとって、見たことも訪れたこともない山林の固定資産税を払い続け、
山林火災でも発生しようものなら、思わぬ費用も発生するリスクから解放されるのはありがたいことです。
この制度を足掛かりに都市部や郊外で増えつつある空き家対策ももっと即効性や強制力のある形になってほしいものです。
相続といえば、誰が引き継ぐのかと資産と考える人も多いですが、
実際は、負けると書く負動産というのもたくさんあります。
この制度は相続の時しかチャンスがありません。
放棄という選択肢、検討する価値があります。
相続に関するご相談はぜひ税理士法人優和までお問合せください。
京都本部 吉原