対話型のAIが裁判官を務める日本初のAI模擬裁判が先日、某大学の学園祭にて行われました。この企画は、現代に恩恵をもたらした技術を『AIが法律を操つる未来』を通じて多くの人に考えてもらう、という問題提起を目的として行ったものだそうです。
今回の模擬裁判を行ってみて、AIが下した判決に対して現役の裁判官の方からは「AIは責任が取れないから人間が判断を下すべき」、元裁判官の方からは「過去のデータが今も正しいとは限らず、AIが常に妥当な判断ができるのか疑問」という指摘や、また、「AIが個々の被告の情状を完全に拾い出せるのか」「裁かれる側も納得がいくのか」など、様々な問題が浮かび上がる結果となりました。
技術が発展したこのご時世、私たちの生活は現代の恩恵なしでは成り立たなくなっていると感じます。しかしそれは、多くの人間が時間や労力を無駄なことに費やすことなく、且つそれでいて質の高い暮らしをできる世の中にするために、労力を惜しまずに長年にわたり研究を重ね、失敗を繰り返しながらもかたちにした人たちがいたからこそではないか、とも思います。
ほとんどの人間が、努力しなくてもお金さえ払えば便利で楽な暮らしをおくるためのツールをいくらでも手に入れることができる。今はそんな時代になっているのかもしれません。ですがどんなことにでもメリット・デメリットは必ずあり、それを踏まえたうえで選別や判断、決定をするのは人間のすることで、最終的な責任は全て人間にあると思っています。
前置きが長くなりましたが、何が言いたいかというと、どんなに便利な世の中になっても、なんでも機械任せ・他人任せにするのは良くないし、自分の頭を使って物事を考えることのできる感性を磨く労力だけは惜しまずに人間らしくいたいな、ということでした。
茨城本部 青木