優和スタッフブログ

松山の紹介(その9)

坊っちゃん列車(伊予鉄道)
 卒業してから八日目に校長が呼びに来たから、何か用だろうと思って、出掛けて行ったら、四国辺のある中学校で数学の教師が入る。月給は四十円だが、行ってはどうだという相談である。おれは三年間学問はしたが実を云うと教師になる気も、田舎へ行く考えも何もなかった。もっとも教師以外に何をしようと云うあてもなかったから、この相談を受けた時、行きましょうと即席に返事をした。これも親譲りの無鉄砲が祟ったのである。
(中略)
 停車場はすぐ知れた。切符も訳なく買った。乗り込んでみるとマッチ箱のような汽車だ。ごろごろと五分ばかり動いたと思ったら、もう降りなければならない。道理で切符が安いと思った。たった三銭である。
(『坊っちゃん』夏目漱石著より)
 夏目漱石の小説「坊っちゃん」の中で、軽便鉄道時代の伊予鉄道が「マッチ箱のような汽車」として登場しており、四国・松山の中学校に赴任する坊っちゃんがこれに乗ったことから、坊っちゃん列車と呼ばれるようになった。
 現在は、伊予鉄道により松山市内の軌道で復元運行されており、現在ではこちらの方を指すことが一般的である。
 伊予鉄道には鉄道線と路面電車の市内線があり、実際に夏目漱石が乗ったのは鉄道線の方の高浜線だというが、伊予鉄道は市内線の方に当時の列車を再現した、坊ちゃん列車を走らせている。
 坊ちゃん列車は機関車が客車を引く客車列車で、機関車は当時の蒸気機関車そっくりの外観になっているが、ディーゼル機関車になっている。当然煙や蒸気は出さない(蒸気機関車の雰囲気を出すため、煙突から出ている煙に見えるものは、水蒸気を煙に見たてたもの)。機関車は罐の焚口なども再現されており、蒸気機関車そっくり。走行区間は、古町-松山駅前-道後温泉、および、松山市駅前-道後温泉の2種類。
 復活運行開始当時は乗車には記念グッズと市内電車1日乗車券込みの1,000円が必要でしたが、現在は(2002年8月から)1回乗車のみなら300円。他にも、記念グッズ付き1日乗車券1,000円などがあります。
(松山市駅の近く、伊予鉄道本社ビルの前に、坊ちゃん列車の復元模型がある。)
  松山本部 村上


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