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年末年始が近づいてきました。この時期業界団体等の懇親会が増えてくると思います。業界団体等の懇親会の支出については、令和6年度の税制改正において平成6年4月1日以降支出する交際費等の範囲から除外する飲食費の金額基準が引き上げられ、1万円以下であれば損金に算入できることとなりました。(従来は5千円以下)ただし、参加者側において懇親会に要した飲食費総額を把握できている場合には、単に支出した懇親会費が1万円以下であるか否かに関わらず、飲食費総額を参加者で割った金額が1万円以下であるかの判定も必要になってきます。
(1)飲食費とは飲食等に要する費用の総額が前提となる
ここでいう飲食費は、「飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額」であり、飲食等のために要する費用の総額をいいます。ここでいう飲食費の考え方は、改正前と後では同じですが、当該懇親会費の総額が把握できるのであれば、その飲食費総額を参加者全員で割った金額が1万円以下であるかどうかで判断することになります。したがって、計算した金額が1万円超の場合には、その超過分だけが交際費等に該当するのではなく、その全額が交際費等に該当することになるので注意が必要です。
たとえば、懇親会に要した飲食費総額が130万円であり(会費として100人から1万円の会費を集め30万円を業界団体が支出した場合)、参加者が100人の場合には1人当たり1万3000円となりその全額が交際費等として損金不算入となります。
(2)飲食費総額の通知がない場合には支出した金額で判定
業界団体等の懇親会が催される場合、その会員には実際は会費の提示のみがされることが多いと思います。懇親会に参加するたびに会員が飲食費等の総額を把握することは、実際は難しいと思われることから、飲食費の総額の通知がなく、かつ、その飲食等に要する1人当たりの費用の金額がおおむね1万円程度に収まると想定される場合には、その支出した金額で判定しても問題ないと思われます。
これから、忘年会シーズンで様々な飲食費等の支出が考えられます。また、飲食等以外の項目にも様々な交際費等の支出が想定されます。交際費等に該当するか判断に迷う場合は、税理士法人優和までご相談ください。
東京本部 佐藤芳明