税理士法人優和の全国のスタッフが交代で、会計・税務に関する役立つ情報を提供しています。
令和2年度の確定申告作業もいよいよ佳境に入りつつある今日この頃ですが、今年はコロナ禍による申告期限の延長もあり、まだ申告をされていない納税者の方もいらっしゃることでしょう。
税務相談等で納税者の方から会計事務所に依頼すると費用はどのくらいかかるかといった質問を数多く受けますが、同じ不動産所得であっても報酬はその分量によって変わってくることから一概にいくらとは言いづらいところなのですが、そもそも会計事務所に依頼することなくご自身で申告される方も数多くいらっしゃいますし、実際のところ見事な申告書を作成される方もいたりします。
ただ、多くの方にとってはそのレベルに達するまでにはそれなりの勉強時間を要することになるでしょうし、勉強してもなかなか税務申告に耐えうる申告書には心もとない申告となってしまうケースもあることでしょう。
このようなご質問に対し私自身は会計事務所に確定申告を依頼することは料理に例えるならば調理人が料理を作ってくれるようなものだと答えたりします。
我々会計事務所は食材を最高においしく調理し見栄えも美しくすることのできるノウハウがあります。それはすなわち税務申告に耐えうる申告書の作成のみならず蓄積されたノウハウを駆使して税法に則った節税を提供することなのです。
逆にせっかくの高級食材も調理法を熟知していないばかりに自炊をしてみたもののイマイチ美味しくできなかったりするのは、まるで節税策を知らずに自身で申告したがために知らずに余計な税金を払っていたり、本来の納税額より低く申告して税務署から呼び出され追徴課税を払う羽目になるようなものです。
ただし、中には年金受給者の医療費控除による還付だとか、簡易な不動産所得などは、例えるならばいくら丼を作るようなもので(いくら丼も奥が深いかもしれませんが・・・)費用を払ってまでのことではないのは言うまでもありません。
結局のところ会計ソフトを購入して自分で作成してみようとしてもその購入費用、想定外の節税及び税務署からのお尋ね、作成に費やす時間等々を勘案すると会計事務所に依頼した方が最終的には金銭的な面もそうですが、何よりも安心感があるのではないでしょうか。
今まで何となくこれで大丈夫なのだろうかとモヤモヤしながら確定申告をされていた方、初めて確定申告でどうしたらいいかわからないという方、どうぞ税理士法人優和へご相談ください。
埼玉本部 菅 琢嗣
今年も確定申告の時期がやってきました。この時期になるとお客様から確定申告関連の書類をお預かりするのですが、その一つに「特定口座年間取引報告書」というものがあります。これは証券会社を通して年間に株式を売買した譲渡損益及び納税額だとか株式及び投資信託等の配当の総額及び納税額が記載されたものですが、令和2年分より様式が少し変更となりました。配当等の額に「上場株式配当等控除額」という欄が新たに加わったのです。
令和2年1月1日以降の外国資産に投資する投資信託等(主としてオープン型証券投資信託のUS-REIT等)の分配金に対し日本での源泉課税にあたり外国での課税分を考慮して計算されることとなり、その外国での課税分が記載されております。
令和2年1月1日以前は外国資産の配当については外国での課税後の収益に直接国内での所得税が課税されており、所謂二重課税の状態でしたが、この調整により外国資産の配当の総額に課税されるため国内での税引き後の分配金がその分増える結果となりました。
特定口座内での調整はそこまでですが、確定申告においては更に二重課税の調整が行われます。
そもそも配当所得については二重課税の回避という観点から配当控除という税額の控除が設けられておりますが、本来の趣旨は(少々雑で乱暴な言い回しとなりますが)自分の会社で儲けた税引き後の利益に出した配当について更に税金を課すことに対する措置であり、外国資産等の配当はその趣旨に馴染みづらいことから、外貨建資産の割合と株式以外の資産の割合がいずれも75%以上の投資信託等については配当控除を受けることができず、それ以下でも割合が高いものについては配当控除の率が低くおさえられております。(これについては、特定口座年間取引報告書の1枚目だけだとその判断がつきませんので2枚目以降の配当等の交付状況から外貨建資産割合と非株式割合を確認する必要があります)
多くのUS-REIT等はこの割合に制限がなく、約款規定もないことから配当控除を受けることはできませんが、最初に触れた「上場株式配当等控除額」について外国税額控除を受けることにより二重課税を回避することができます。この外国税額控除については、正式には「分配時調整外国税相当額控除」といい、確定申告書上は外国税額控除と同一の欄(外国税額控除等)に記入することとなります。(昨年の確定申告書には、この等がありませんでした)
最後に個人的な私見となってしまいますが、昨今のグローバル社会において一層複雑化する金融商品についてその課税方法もそれに追随するかの如く難解となり、納税者はもとより、税理士、課税当局ともにその判断に苦慮しております。
本来税制は公平でわかりやすいものでなければならず、もう少し簡素化の動きがないと、このままではあるべき納税額が不明確になってしまうという申告納税制度の根幹にも影響が出てきてしまうのではないかと思えてなりません。
埼玉本部 菅 琢嗣