コロナウイルスの感染拡大が続きついに都市部では2度目の緊急事態宣言が発令されました。各事業者の方々は以前厳しい状況が続きますが早期に収束することを願うばかりです。
この時期になると税制改正が話題となりますが、今回は[ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生]が掲げられております。その中でも所得拡大税制の変更について確認したいと思います。
・大企業向け「賃上げ・投資促進税制」の見直し
改正前では「雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額の15%」の税額控除であったが、改正後は「控除対象新規雇用者給与等支給額の15%」の税額控除に変更となります。
現行制度が、継続雇用者の増加分について判定の基準としていましたが、改正後の制度は
新規雇用者に対する支給額を判定の基準としています。
適用要件は下記の通りです。
適用年度:令和3年4月1日~令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度
適用要件:
①【新規雇用者給与等支給額≧新規雇用者比較給与等支給額×102%】
②【雇用者給与等支給額>比較雇用者給与要支給額】
※「新規雇用者給与等支給額」とは、国内事業者において新たに雇用した雇用保険一般保険者(支配関係がある法人から異動した者及び海外から異動した者を除く)に対して、その雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額
※「新規雇用者比較給与等支給額」とは、前期の新規雇用者給与等支給額
※「控除対象新規雇用者給与等支給額」とは、新規雇用者給与等支給額と雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のいずれか低い金額
教育訓練費の額が、前期教育訓練費と比較して1.2倍以上の要件を満たす場合には、控除率が15%から20%に引き上げとなります。
控除上限は該当の事業年度の法人税額×20%までとなります。
中小企業向け「所得拡大促進税制」の見直し
大企業とは別に、中小企業では現行制度の枠組みを維持しつつ適用要件の見直しと適用期限を2年延長することとされました。
要件については下記の通りです。
改正前:継続雇用者給与等支給額≧継続雇用者比較給与等支給額×101.5%
改正後:雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額×101.5%
また、教育訓練費増加等の要件を満たす場合に「雇用者給与等支給額」が前年度比2.5%以上であれば控除率が15%から25%に引き上げられることとなります。
興味・質問等ございましたら、ぜひ税理士法人優和までご相談ください。
東京本部 有本
テレビをはじめとする各種メディアで感染者数の拡大が続いていることの報道が続いています。いつ収束するかもわからない状況ではありますので、国としても昨年の3月よりコロナウイルス感染症拡大防止対策として、税務申告などでかなり柔軟な対応ととってきました。当初昨年の3月にその取扱の内容が公表されたのですが、昨年12月15日に新たに更新されましたので、そちらを中心にご案内しようと思います。
○令和元年分の確定申告について
ほとんどの方が令和元年分の確定申告は終わっているかと思いますが、これから提出しようとしている方は注意が必要です。令和2年分の確定申告前に令和元年分の確定申告を行わないと、令和元年分が期限後申告になりますので、提出する順番にご注意下さい。(なお同時だと問題ないようです)
また、上記取扱は各種申請書にも適用されるようで、例えば先に青色申告承認申請書を出したあとに令和元年分の確定申告書を提出した場合は、その確定申告は期限後申告として取り扱われるので要注意です。
○相続税の申告において相続人の一人が感染した場合の取扱い
他の税目同様に個別の申請を行うことにより申告期限等が延長されます。ただ、あくまでも相続人単位での取り扱いになるので、申請を行わなかった方以外の相続人等の申告期限等の延長は行われないので注意が必要です。
○個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱い
助成金の課税関係は以下の通り例示されています。
<非課税>
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金
・新型コロナウイルス感染症対応休業給付金
・特別定額給付金
・子育て世帯への臨時特別給付金
・学費として支給される金品
・心身又は試算に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金
・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金 等
なお、上記にはない、持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金、GoToキャンペーン事業における給付金などは課税対象となります。
○医療費控除関係について
昨年医療・衛生関係の支払いが増えた方も多いかと思いますが、それらが医療費控除の対象になるかどうか公表されましたので確認下さい。
・マスク購入費用 ⇒ 対象外
・PCR検査費用 ⇒ 医師の判断であれば対象、自己の判断であれば対象外(ただしその後陽性が判明し治療を行った場合は対象)
・オンライン診療に係る諸費用 ⇒ オンライン診療料、オンラインシステム利用料、医薬品の購入費用は対象、医薬品の配送料は対象外
医療費控除の対象となる医療費は、①医師等による診療や治療のために支払った費用、②治療や療養に必要な医薬品の購入費用 などとされていますので、その原則に当てはまるかどうかで判断することになります。
他にも納税猶予や税制上の措置もありますので、少しでも興味・質問をお持ちであれば、ぜひ税理士法人優和までご相談下さい。
東京本部 木村