税理士法人優和の全国のスタッフが交代で、会計・税務に関する役立つ情報を提供しています。
緊急事態宣言も解除となり、新型コロナウイルスの不安は残りながらも、徐々に日常を取り戻しつつあります。
長く続いた外出自粛により、働き方改革の目玉でもあるテレワークも広く社会に浸透しました。
国の後押しとなる支援も多数あり、今後、導入を考える企業も少なくないのではないでしょうか。
テレワーク等の促進に対する中小企業経営強化税制の拡充もその一つです。
中小企業経営強化税制とは、中小企業等が中小企業経営強化法の認定を受けた、経営力向上計画に基づく一定の設備取得に対し、税制優遇を受けることができる制度です。
従来、生産性向上設備の導入 (A類型)、収益力強化設備(B類型)が対象となっていましたが、新たにデジタル化設備もC類型として加わりました。
デジタル化設備(C類型)とは、業務のデジタル化に必要な遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備のことで、今後需要が高まるテレワークやオンライン設備導入に対して適用となります。
申請の流れは、工業会の証明や経営向上計画の認定に関してはA類型と同様ですが、加えて経済産業省に投資計画と事前確認書を提出し、「確認書」を発行してもらう等の手続きがあり、多少煩雑なものとなっています。
それでも資本金3,000万円以下の法人の場合、即時償却または取得価格の最大10%の税額控除を受けることができますので、テレワーク導入をご検討の際には是非ご活用いただきたい制度です。
また、テレワーク実施に関する機器の運用導入、それに伴う諸費用を助成する『働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)』、ソフトウェア等のITツール導入を促進するための『IT導入補助金2020』等の助成金もありますので併せてご検討いただくと宜しいかと思われます。
茨城本部 渡辺
新型コロナウィルスの影響で、前年の同月比で50%以上売上高が減少すると持続化給付金の対象になる可能性があります。
そこで、一番多い相談は「当月の売上高はどうやって計算するの?」や「昨年度の○○月の売上高はいくら?」「うちはもらえる?」です。
結論から言うと、提出書類である「法人事業概況説明書」の該当月の売上高の50%以下になっていれば対象となる可能性があります。
そして、この売上高とは原則として実現主義で計算します。
簡単に言えば物を引渡した日あるいはサービスを提供した日に売上高を計上します。
なので、4月30日に物を引渡し、5月2日に入金された場合、売上高は4月分で計上します。5月売上ではありません。
しかし、去年の法人事業概況説明書の期中の各月を入金ベースで売上高を計算し、決算月で実現主義に訂正している場合はどうなるのでしょうか?
比較のために当月も入金ベースで売上高を計算しても良いのでしょうか?
この点経済産業省では触れていません。
触れていないということは制度の原則通り実現主義を適用すると思いますが、
去年の法人事業概況説明書の売上高が入金ベースで計上していれば前年の同月と比較するために、当月も入金ベースで売上高を計算しても良いという意見も多くあります。
けれども、この入金ベースだと意図的な不正が可能になってしまいます。
給付金を得るために、「月末の入金を翌月に回してしまえ」など・・・
そして、仮にこれが給付金目的であるか否か、故意であるか否かに関わらず、
不正を疑われれば、事後的に返還を求められる恐れもゼロではないと思います。
そう考えると、実現主義で比較した方が良い気がします。
去年の該当月の請求書と今年の請求書を比較して50%以上減少していて、かつ法人事業概況説明書の売上高との比較も50%以下になっている月を確認して申請すればほぼ大丈夫でしょう。
そして何より重要なのは、給付金申請で使用した売上台帳の売上高と今年の法人事業概況説明書の売上高の金額を合わせるということです。
特に会計事務所に申告書の作成を依頼している方はこの点の意思疎通が必要になります。
最後に、持続化給付金はスピーディーに申請者に届くようにするために事前の調査よりも事後的なチェックの方が厳しいとも考えられます。
なので、受給して満足するだけではなく、仮に調査されても耐えられるだけの準備は必要だと思います。
茨城本部 大河原