税理士法人優和の全国のスタッフが交代で、会計・税務に関する役立つ情報を提供しています。
元号が変わり平成から令和になりました。長いゴールデンウィークも終わりなかなか仕事モードにやっと切り替えができてきたような気がします。
サービス業の方はゴールデンウィーク中お仕事がお忙しい方が多かったものと思われます。
先日飲食店の方から消費税が10月から変わるのにどうしたらいいかという質問を受けました。
そのお店はレジを導入していなかったのでレジの導入の検討とメニュー表の表記等についてご説明しました。レジの導入には軽減税率対策補助金なども活用できるのでこれを機に導入を考えるのも良いかと思われます。
また税率が変わることによって利益にも影響してきます。もし税込価格を据え置いた場合には税込みの売上は変わりませんが、税抜の売上額と利益額が減少します。
【例】
・消費税8%時
売上額(税込)1,080円の場合、売上額(税抜)は1,000円です。仕入額(税抜)が500円だとすると粗利益は500円となります。
・消費税10%時(税込価格を据え置いた場合)
売上額(税込)1,080円の場合、売上額(税抜)は982円です。仕入額(税抜)が500円だとすると粗利益は482円となってしまいます。
このように利益額自体は3.6%の減少となります。消費税の引き上げ分を価格に転嫁していない(上記の場合は売上額(税込)を1,100円にしない)と経営が圧迫される可能性もでてきます。
価格を転嫁することで消費者にとっては購入価格が上がるわけなので、お客様が減ってしまうリスクもあります。集客のためには一部メニューの価格を据え置いたり、利益をとれるよう新メニューを開発したりなどの工夫も必要になってくるかと思います。
他にも資金繰りなどにも注意する必要がありそうです。
軽減税率制度が導入されると、飲食店の食事の提供による売上は消費税率10%になります。
一方で食材の仕入れについては消費税が8%のままということになります。
そうすると、支出は今までと変わらず入金が多くなり、日々の資金繰りが良くなります。
ただ、これは預り消費税の金額が多くなっているだけなので決算時の納税額が増えることになりますので、日々の現金収支だけでなく決算時の対応も検討することが重要です。
池袋本部 有本 潤
先日とあるお客様から、蛍光灯からLEDランプへの取替費用の処理科目についてご質問がありました。私は照明設備(建物附属設備)として資産計上が必要だと判断したのですが、お客様は、「国税庁のHPには修繕費として処理するように書いてありますよ。」とおっしゃいます。
そこで、あわてて「国税庁 LED」と検索したところ、下記の国税庁質疑応答事例にたどりつきました。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/12.htm
「今回のように蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、節電効果や使用可能期間などが向上している事実をもって、その有する固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかとも考えられますが、蛍光灯は照明設備がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとはいえないと考えられますので、修繕費として処理することが相当です。」と回答されています。
確かにお客様がおっしゃる通り、修繕費として処理せよと書かれてはいますが、よく読んでみると前提条件がありました。今回の質疑応答事例では、「建物の天井のピットに装着された照明設備については、特に工事が行われていない」というのが前提となっています。
そして、お客様の状況をよくよく確認してみると、単純な蛍光灯の交換ではなく、LEDランプの規格に合わせるための照明設備の改良工事を行ったとのことでした。こうなると、この改良工事は、蛍光灯型LEDランプへの取替より節電効果や照明設備の充実による作業の効率化などが期待できるものになることから、修繕費ではなく資本的支出に該当すると考えられ、また、照明設備と蛍光灯型LEDランプは、これらが一体となってその新たな機能が発揮されるものとなることから、単なる部品の取替の場合と異なり、改良工事費用一式を資本的支出として処理することが相当と考えられます。
このように、国税庁のHPに記載されている内容は有用なものが多く、税務判断の参考になりますが、一つ文言を見落とすだけで、全く違った結果になることもありますので、判断に悩まれた際は、ぜひ税理士法人優和までご相談下さい。
池袋本部 木村