2019年度税制改正大綱に盛り込まれた「ふるさと納税」の新たな規制ルールが、今年6月から実施されます。税優遇が適用される寄付先を総務省による認定制に改め、「返礼品の価値は寄附金額の3割以下」「返礼品は地場産品に限定する」という基準を満たさない時事体を税優遇の対象から外す。自治体間による寄付争奪戦に歯止めがかからないとして、法規制による強権発動に踏み切った形です。
ふるさと納税制度は、任意の自治体に寄付をすると、一定額まで住んでいる土地に納める税金が控除されるというものです。実質手数料の2,000円のみで高額な返礼品が獲得できるとして、納税者の人気を集めてきました。 政府が昨年12月に閣議決定した税制改正大綱では、この制度の対象となる自治体を総務大臣による指定制に改めるとしました。その条件として、①返礼品の返礼割合を3割以下とすること、②返礼品を地場産品とすること、と掲げ、自治体がこれらの基準に適合しない返礼品を送ったときは、総務大臣は指定を取り消せると盛り込みました。指定が取り消されると、寄付した人は税優遇を受けられず、純然たる寄付となってしまいます。これらの改正は、今年6月1日以後に行われる寄付に適用されます。
これから法規制が実施される6月に向けて駆け込み寄付が増えていきそうだが、すでに多くの自治体では高額返礼品の見直しを進めているため、お得な返礼品は日に日に少なくなりつつあります。
一方、これまで多くの寄付を集めてきた自治体にとっては、自助努力の成果を総務省に押さえつけられたかたちになります。今後決められた一定条件で、いかに品揃えに工夫を凝らすかを求められていくことになります。すでに一部の自治体では新たな動きを出つつあり、昨年に寄付金額が国内1位だった大阪府泉佐野市は、民間企業のポータルサイトに頼らない独自の「ふるさと納税専用サイト」を開設し、運用を開始しました。寄附金の1割とも言われる民間企業への掲載手数料を抑える狙いで、法規制でこれまでのように他自治体との差別化によって多額の寄付金を集めることが難しくなるなか、同調する自治体も出てきそうです。
埼玉本部 秋元