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投資という言葉が身近になったことに伴い普及した「クラウドファンディング」。積極的に投資されている方も多いと思います。今回はその税務上の取り扱いについて確認したいと思います。
そもそも、クラウドファンディング(CrowdFunding)とは、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)という言葉を組み合わせた造語で、様々な理由でお金を必要としている人が、インターネット上で多数の人から資金を募る仕組みを言います。
また、クラウドファンディングは資金調達の側面だけでなく、自社商品やサービスをアピールできるという側面も有しています。
最近のクラウドファンディングの傾向としては、事業資金の全部を調達するのではなく、新たな事業展開の資金調達や市場動向の調査目的での利用がその大半のようです。
クラウドファンディングにより得られた投資結果が銀行からの主要事業資金調達の事業化の根拠としても活用できるため、その高い利用範囲が期待されております。
クラウドファンディングにはいくつか種類があり、大きく分けると「寄付型」、「購入型」、「投資型」に分かれます。では、それぞれの税務についてみていきましょう。
【寄付型クラウドファンディング】
寄付型クラウドファンディングは慈善活動などを目的とするものが多いタイプです。この税務については、プロジェクトの起案者が個人か法人かによって異なります。
(1)起案者の税金
① 個人の場合
A. 個人からの寄付:年間110万円を超えた部分に対しては贈与税がかかります。
B. 法人からの寄付:一時所得となり、所得金額(利益金額)が50万円を超えた部分が課税されます。
② 法人の場合
法人の形態によって取り扱いは異なりますが、原則受贈益となり、法人税の対象となります。
(2)出資者側の税金
① 個人の場合
課税はされず、寄付金控除もありません。
② 法人の場合
一般の寄付金扱いとなり、損金限度額を限度として損金算入ができます。
(3)消費税について
寄付型の場合には、寄付行為が課税取引とならないため、消費税は課されません。
【購入型クラウドファンディング】
購入型クラウドファンディングとは、起案者が集まった資金で開発した商品・サービスを出資者にリターンする仕組みとなりますので、その税務は通常の売買と同様に取り扱われます。
(1)起案者の税金
① 個人の場合
所得税の対象となり、原則としてクラウドファンディングで生じた所得(利益)については、確定申告をする必要があります。
② 法人の場合
法人税の対象となり、実際に商品を提供した時点で、調達した金額から商品の作成にかかった費用を差し引いた後の利益に対して課税されます。
(2)出資者側の税金
① 個人の場合
一般的な買い物と同様のため、確定申告等の必要はありません。
② 法人の場合
事業に必要なものであれば経費として損金算入ができます。
(3)消費税について
通常の売買と同様の取り扱いとなりますので、消費税の計算の対象となります。
【投資型クラウドファンディング】
投資型クラウドファンディングとは、出資者に利益の分配等をリターンとして提供するものです。このタイプの場合、起案者は基本的には法人となることが多いようです。
(1)起案者の税金
① 法人の場合
借入金の会計処理と同様になり、資金調達時点では税金は発生しません。
資金運用により得た利益に対し課税されることになります。
(2)出資者側の税金
① 個人の場合
分配を受けた時に雑所得の対象となり、原則として確定申告をする必要があります。
②法人の場合
調達した資金の運用により発生した利益から分配金の額を差し引いた額に対して法人税が課されます。
最近、クラウドファンディングに対する税金の取り扱いに関する相談が増えております。
当社では、京都発のクラウドファンディングの運営会社との協業を開始しており、最新のクラウドファンディング事情につき、税務はもちろん、その調達方法のご支援を開始しております。クラウドファンディングに関するご相談は、ぜひ、当社までお問合せ下さい。
京都本部 太田
相続財産に借金などのマイナスの財産が多いときには、相続をしないという選択肢があります。すべてを相続しないことを「相続放棄」と言います。亡くなった日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てることで認められます。複数の相続人がいても、一人の相続人だけ放棄することができますし、その相続人単独で手続きをすることが可能です。
これに対して、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことを「限定承認」と言います。借金のみが残るような相続はしないという選択です。こちらも3か月以内に手続きが必要です。ただし、「限定承認」は相続人全員の同意が必要ですので、単独で手続きをすることはできず、相続人全員が共同で手続きを行うことになります。
何もせずに3か月の期限を過ぎると、プラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐ「単純相続」になります。この3か月内に「相続放棄」や「限定承認」の判断できないときは、家庭裁判所に期間の延長の申請をすることができます。
通常、相続税の申告期限は被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内ですが、10か月あると思って相続財産の調査を後回しにしていると、思いもよらない被相続人の債務が判明するケースもあります。3か月という「相続放棄」「限定承認」の期限も頭に入れながら余裕をもって相続手続きをすすめるようにしましょう。
京都本部 中村真紀