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新型コロナウイルス緊急経営支援策一覧

新型コロナウィルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言が2020年4月8日に発令されました。それを受けて当税理士法人も緊急融資の為の月次試算表作りや支援策等の相談業務に追われております。

そこで新型コロナウイルス緊急経営支援策一覧を作成しました。内容についてはURLをクリックしてご確認ください(4月9日現在)。

1 国・都道府県等の支援策 4月13日20:00時点版の経済産業省はこちら 

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

2 相談窓口

雇用の維持

資金繰り支援

税制面等の支援

【支援策】

1.国・政府系金融機関の支援策

経済産業省「新型コロナウイルス感染症関連」

新型コロナウイルスによる企業への影響を緩和し、企業を支援するための施策が案内されています。

「支援策パンフレット」に、官公庁横断での支援策がまとまっています。

https://www.meti.go.jp/covid-19/

2.都道府県・市町村の支援策はこちら

J-Net21(運営:中小企業基盤整備機構)に、都道府県別の補助金・助成金・融資の情報がまとめられています。

https://j-net21.smrj.go.jp/support/tsdlje00000085bc.html

こちらも県別検索出来て便利です。→ https://covid19.moneyforward.com/

【相談窓口】

1.経済産業省「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」

日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付」

日本政策金融公庫等が、3月17日(火)から新型コロナウイルス感染症の影響を受け、最近の売上が一定程度減少している事業者の方向けの融資制度「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の取り扱いを開始。

https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

【Ⅰ雇用の維持】

1.厚生労働省「雇用調整助成金」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

2.新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

3.委託を受けて個人で仕事をする方向けのコロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html

4.厚生年金保険料等の猶予制度

file:///C:/Users/watan/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/N5QLEUXP/10.pdf

5.時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09904.html

6.厚生労働省「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html

7.厚生労働省「時間外労働等改善助成金(職場意識改善特例コース)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisiki.html

【Ⅱ 資金繰り支援】

  • 無利子・無担保融資

日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html

沖縄振興開発金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付」

https://www.okinawakouko.go.jp/3748

 商工中金「危機対応融資」

https://www.shokochukin.co.jp/disaster/corona.html

  • マル経融資の金利引き下げ

日本政策金融公庫(沖縄振興開発金融公庫)「新型コロナウイルス対策マル経」 

https://tutumikaikeisample.tkcnf.com/tkc-corona

3.セーフティネット保証4号・5号

中小企業庁「セーフティネット保証制度 中小企業信用保険法第2条第5項及び第6項」 

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm

 ●セーフティネット保証4号

幅広い業種で影響が生じている地域について、一般枠とは別枠(最大2.8億円)で借入債務の100%を保証。(売上高が前年同月比▲20%以上減少等の場合)

https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200228001/20200228001.html

 ●セーフティネット保証5号

特に重大な影響が生じている業種について、一般枠とは別枠(最大2.8億円、4号と同枠)で借入債務の80%を保証。(売上高が前年同月比▲5%以上減少等の場合)

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_5gou.htm

  日本政策金融公庫が新型コロナウイルスに関する特別相談窓口を開設し、セーフティネット貸付の要件を緩和

https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200214012/20200214012.html

【Ⅲ 税制面等の支援】 当優和税理士法人の[新型コロナウィルスへの申告や納税などの当面の税務上の取扱い](2020年04月03日)をご覧ください。https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174597/

東京本部 渡辺俊之


相続により事業を引継いだ場合の消費税の納税義務について

 全世界でコロナウイルスの感染が止まらず日本国内でも同様に猛威をふるっています。関東では外出自粛要請が出され不要不急の外出は避けるよう感染防止の策がなされています。自分自身いつ感染するかもわからないので、感染予防に努めたいと考えています。

 さて、相続により被相続人の事業を引継いだ場合の消費税の納税義務についてみていきます。(被相続人は課税売上1,000万円超の課税事業者であり相続人は1人とします。)

そもそも相続人が事業を行っていて元々消費税の課税事業者であった場合には、そのまま課税事業者として消費税の納税義務が継続されるだけとなります。

次に、相続人が課税事業者ではなく免税事業者であった場合、例えば給与所得のみのサラリーマンだったところ相続を機に被相続人の事業を引き継いだような場合ですが、この場合にはサラリーマンである相続人の前々年の課税売上はありませんから、消費税の納税義務はないように思われますが、下記の規定により納税義務は免除されないこととなります。

○相続があった場合の納税義務の免除の特例○

その年において相続があった場合において、その年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である相続人が、その基準期間における課税売上高が1,000万円を超える被相続人の事業を承継したときは、その相続人の相続のあった日の翌日からその年の12月31日までの間における課税資産の譲渡等については、消費税の納税義務は免除されません。(消法10①)

それでは、上記の様に相続人が1人ではなく2人以上の場合はどうなるのでしょうか。相続人が2人以上いるときは、相続財産の分割が実行されるまでの間は被相続人の事業を承継する相続人は確定しないことから、各相続人が共同で被相続人の事業を承継したものとして取り扱うこととされています。

この場合において、各相続人のその課税期間に係る基準期間における課税売上高は、その被相続人の基準期間における課税売上高に各相続人の法定相続分に応じた割合を乗じた金額によるものとされています。(消基通1-5-5)例えば、被相続人の基準期間における課税売上高が2,400万円、相続人は配偶者と子2人であった場合、納税義務の判定に用いる被相続人の基準期間における課税売上高は、配偶者については2,400万円×法定相続分1/2=1,200万円、子2人については各2,400万円×法定相続分1/4=600万円となります。このように、相続後の消費税の納税義務の判定は複雑であるためもし迷われた場合は税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 井上賢亮


消費税申告期限の延長

先日発表された税制大綱の中に消費税の申告期限の延長があります。

改正前は事業年度終了の日から2か月以内が消費税の確定申告書の提出期限でしたが、改正後はその提出した日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間の消費税の確定申告書の提出期限を1月延長となります。

【改正前】

法人税の申告期限延長の特例の適用を受ける法人であっても、消費税の確定申告書の提出期限は延長されなかったため、事業年度終了の日から2か月以内が消費税の確定申告書の提出期限

【改正後】

法人税の申告期限の延長の特例を受ける法人が、消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合には、その提出した日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間の消費税の確定申告書の提出期限を1月延長

申告期限を延長していない場合の延滞税は損金不算入、申告期限の延長をしている場合には延滞税は損金不算入ですが、期限延長分の利子税は損金算入となります。

今までは決算が確定する前に消費税を納め、もし税額が変更になる場合は、修正申告か更生の請求を行う企業もあったかと思います。修正申告の前に税務調査の通知が来てしまうと過少申告の指摘がある場合もありますし、申告しなかった場合は無申告加算税の対象となってしまいました。

軽減税率が導入されたことから消費税の精査も時間がかかるようになったため、事務手続きを軽減させる対策かは不明ですが、法人税の申告期限と同時に行えることとなるので、決算確定とのタイミングがズレず追加で修正申告等をする手間が少なくはなりそうです。

こちらの適用は2021年(令和3年)3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用となります。

池袋本部 有本


住宅取得等資金の非課税

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から贈与を受けて自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築等の対価に充てるための金銭を取得した場合に一定の要件を満たすとき贈与税が非課税となります。

要件を満たす場合、最大3,000万円まで贈与税が非課税となります。

ただし、納める贈与税が0円だったとしても贈与税の申告をする必要があります。

この適用を受けるための一定の要件は細かく定められております。

その中でも特に注意が必要な要件を紹介します。

・贈与を受けた都市の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること

この要件の中でもっとも注意すべきなのが贈与を受けた同年に不動産を譲渡したケースです。新しい家を買う為に所有する不動産を譲渡する場合はその際の所得も合算して2,000万円以下にしなければならないので注意する必要があります。

・新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。

登記簿上の床面積が240㎡以下の物件であることを事前に確認しておく必要があります。

実際にこういった要件を満たしておらず、規定を適用できないという方が存在します。

贈与などを考えてらっしゃる方は税理士法人優和までご連絡ください。

京都本部 近藤


QRコードを利用した納付

税金の納付には期限があります。そのため、期限を気にしながら慌てて金融機関に出向くことが必要な場面もあります。

税金の納付方法は、金融機関や官公庁の窓口による納付だけではなく、口座振替による納付、クレジットカード決済による納付、ダイレクト納付などの方法があります。

口座振替やダイレクト納付は非常に便利ですが、届出までに時間を要するため、事前の準備が必要です。クレジットカード決済もポイントがたまる利点がありますが、手数料がかかることに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。

そういった場合にはQRコードを利用したコンビニ納付はいかがでしょうか。

昨年の1月4日から利用可能となった納付方法です。国税庁のHPでQRコードを作成し、ご自宅のパソコンであれば、そのQRコードをプリントアウト、スマホであればその画面をコンビニに持参し、コンビニの端末に読み取らせれば納付書を出力できます。それをレジで支払えば納付完了です。

この国税庁「QRコード作成専用画面」は24時間対応のため、夜間や休日でもQRコードを作成できますし、コンビニ払いですので、金融機関の窓口の時間を気にすることなく納付が可能となります。

この納付方法は事前の届け出等の手続きが一切不要な点が利点といえるでしょう。国税庁の「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」に入り、名前、住所、税目、納付金額等の必要事項を入力すればすぐに作成できます。

ただし、30万円を超える場合は利用できません。

同様に、QRコードでクレジットカード決算も利用できません。現金納付のみとなります。

場合場合によって、納付方法を選択し、期限内に適切に納付を行いましょう。

税理士法人優和では、さまざまな税のご相談に対応しております。

お問合せはぜひ税理士法人優和までご連絡ください。

 京都本部 吉川


未婚のひとり親の所得控除の創設と寡夫控除の改正について

やっとのような、これからのような、新しい時代への流れを感じる改正が本年より施行となります。

未婚のひとり親の所得控除の創設と寡夫控除の見直しについてです。

◆未婚のひとり親の所得控除の創設

令和2年分の所得税からは、未婚のひとり親であっても、以下の要件をすべて満たす場合には35万円の所得控除を受けられるようになりました。

1.生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)がいる

2.合計所得金額が500万円以下である

3.住民票に事実婚の夫(もしくは妻)がいる旨の記載がない

◆従来の寡婦(寡夫)控除の改正

・寡婦控除の場合にも、合計所得金額500万円以下の要件を追加

・住民票に事実婚の夫(もしくは妻)がいる旨の記載がないことの要件を追加

・生計を一にする子がいる寡婦(寡夫)とともに35万円の所得控除に統一

これまで、離婚や死別等によるひとり親には「寡婦(寡夫)控除」という制度があるものの、婚姻歴のないひとり親に対しての税制上における支援はありませんでした。

また、寡婦(寡夫)控除に関しても、寡婦(女性)と寡夫(男性)との、要件の違いから不公平感が指摘されてきました。

そうした境遇や性別による不利益は、親だけではなく子どもにも及ぶ問題であるとして、以前より多くの声があがるなかでの改正となりました。

多様化し、様々な価値観が認められる社会へと移り変わっていくなかで、税制も複雑となる部分もありますが、今回の改正が多くの人にとって安心し生活できるような社会へと繋がる第一歩となることを願います。

茨城本部 渡辺 


ふるさと納税の高額の返礼品はご注意を!

昨今、巷を賑わせているふるさと納税を利用した方は多いと思います。

ふるさと納税は、所得に応じた限度額の範囲内であれば、手数料の2,000円の自己負担はあるが、納税金額が翌年の住民税からダイレクトに控除され、かつ基本的に納税額の30%の返礼品を受け取れる大変お得感の高い納税制度であると思われます。

今では多くの通販サイトがふるさと納税を利用しており、返礼品の品揃えだけではなく、納税金額まで幅広く設定されています。中には100万円を超えるふるさと納税もあるようです。

しかし、このふるさと納税の返礼品は確定申告時の一時所得の対象になることをご存知でしょうか?

一時所得の申告の対象は原則50万円を超えた場合には必要になります。

高額所得者が限度額いっぱいまでふるさと納税をした結果、返礼品の合計金額が50万円を超えるなんてことも・・・

この50万円の基準は何で決めるかというと、ショッピングサイトや市場で取引されている価格で判断することになります。

返礼品の多くは何かしらの形式で売買取引されているものなので、大まかな金額は推定できると思います。

また、高額所得者に限らず、懸賞で高額商品に当選された方もその懸賞品は一時所得の対象になるので、同年にふるさと納税の返礼品を受け取った方は合計すれば50万円を超えてしまい、確定申告時期に一時所得の申告が必要になることも考えられます。

なので、高額所得者や高額の懸賞に当選された方、あるいは何らかの形で一時所得の対象に該当する物がある場合は、返礼品とその他の合計が50万円になるかどうかを念頭に入れることが必要になると思います。

もし、50万円を超えそうな場合には返礼品の受け取りを翌年にずらしてもらう等の対策が必要と考えられます。

茨城本部 大河原


準確定申告についての概要(後編)

 前回は準確定申告において注意すべき論点についてまとめましたが、今回はその続きです。不動産所得のような毎年確定申告する必要のある方が亡くなった場合、準確定申告以上に気を付けなければならないのが、税務署への届出です。

 特に気を付けたいのが青色申告承認申請と簡易課税制度選択の届出ではないでしょうか。ともに期限内に届け出を出さないとその適用を受けることができないという点で細心の注意が必要となります。

 青色申告承認申請については、被相続人が生前青色申告の承認を受けていたかいないか、その事業を引き継ぐ相続人がその事業を引き継ぐ前から他の事業を行っていたか否かで届出の期日が異なりますが、その要件どおりにあてはめれば、さほど難解なことはありません。難易度からすると「入門編」といったところでしょう。

 その点、少々厄介なのが消費税における簡易課税制度の選択届出ではないでしょうか。相続によって事業を承継した相続人が簡易課税の適用要件を満たす場合、原則は相続のあった年の12月31日までに簡易課税選択の届出を出すことによって相続のあった年から簡易課税の適用を受けることが可能ですが、そもそも簡易課税の要件に当てはまるかだとか、納税義務があるかどうかの判断が、被相続人の基準期間のみならず、事業を承継する相続人が相続発生前に他の事業を行っていた場合にはそこも絡んでくることからその判定は難解なものとなります。

次のような場合はどうでしょうか?例えば12月15日に相続が発生した場合、物理的に不可能ではないのでしょうが年末までに簡易課税選択の届出を粛々と提出できる状態ではないことは明白であり、このような場合には12月31日から遡り概ねその1カ月前までに相続が発生した場合についてその届出を翌年2月末までに提出することで、相続があった年から簡易課税の適用が受けることができます。

 届出関係以外にもそもそも納税義務があるかどうかの判断として例えば亡くなった方の事業を承継する相続人が複数いた場合はどうでしょうか?相続が発生した年の12月31日までに未分割の場合、その年の消費税について納税義務があるかどうかの判断は被相続人の基準期間における課税売上高を法定相続分に分けて各々判断することとなっております。 

 それではその翌年に遺産分割協議が成立した場合、その年の納税義務の判定は被相続人の基準期間において遺産分割協議どおりの持ち分に応じて判定されるのでしょうか?実はこの場合、東京国税局文書回答事例によると相続が発生した年に続き、法定相続分で納税義務を判定することも差し支えないとされております。もし、遺産分割協議通りに判定した場合と法定相続分で判定した場合で課税事業者になるかならないかの結論が異なる場合は、その判定に細心の注意が必要になることでしょう。

 この他にも稀なケースでは課税事業者選択届出であったり、不適用届出であったり相続が発生したことにより影響の出るものが多々ありますので個々の案件に照らし合わせながら検討及び判断が必要となります。

埼玉本部 菅 琢嗣


準確定申告についての概要

 不動産所得のある地主さんのように毎年確定申告をしている方が亡くなった場合、その年の1月1日から亡くなった日までの所得について、亡くなった日から4カ月以内に確定申告をする必要があり、これを準確定申告といいます。

 準確定申告については、基本的には確定申告と変わりはないのですが、少し注意が必要な点がありますので、ひとつずつを検証してみます。

①家賃収入はどこまで計上すべきか?

 原則は例えば11月13日に亡くなった場合、通常11月分家賃について10月末が支払い期限であることがほとんどで、この場合10月末までに受領した11月分家賃までが準確定申告の収入金額となります。

 ただし、継続記帳等の一定要件を満たせば13日までの日割計上した家賃分について準確定申告とすることも可能です。

②必要経費となる固定資産税はどこまで計上できるか?

 前提として固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に対して賦課されるものですが、納税通知書が送られる前に亡くなった場合、準確定申告の必要経費には算入することはできません。

 何となくその年の1月1日に支払義務が確定されているように感じますが、あくまでも1月1日は課税される者が確定されるだけで、その時点で納税義務は確定しておりません。

相続開始前に納税通知書が送付されている場合は、全額でも納期到来分でも納付済み分でも必要経費とすることが可能で、その固定資産税が賦課された財産を相続により取得した相続人がその後、確定申告する際は亡くなられた方が必要経費とした分以外の固定資産税が必要経費となります。いわゆる裏表の関係です。

③扶養控除について

 扶養控除については、意外と弾力的な扱いとなっており、例えば年の途中で亡くなられた方の扶養となっていた子は、準確定申告にあたって扶養控除の要件を満たしていれば控除でき、さらに確定申告においてもその子は、扶養控除の要件を満たしていれば亡くなられた方の配偶者の扶養控除の対象にもなることができ、年間で重複して扶養控除の対象者となることができます。

 逆に年の途中で亡くなられた方についても要件を満たしていれば扶養される側として扶養控除の対象となります。本来の要件はその年の12月31日の現況なのですが、亡くなられた場合は、亡くなられた時点までの扶養の事実によって決まりまるためです。

④翌年の住民税は?

 所得税については、亡くなった年の収入についても課税されるのですが、住民税についてはその年の課税についての賦課期日は、翌年1月1日現在で判定され、その時すでに亡くなっていることから住民税については課税されません。

 極端な話、亡くなった年に10億円の長期譲渡所得があった場合でも5%の住民税分5000万円は課税されないこととなります。

以上、準確定申告についていくつかの論点について検証してみました。

埼玉本部 菅 琢嗣


給与所得と事業所得(外注費)との違いについて

会社が支払った経費が給与になるのか事業所得(外注費)になるのか、税務調査などでよく問題となる点です。また、近年就労形態の多様化に伴い、給与所得と事業所得(外注費)の区分が明確にならないケースがあることから、両者にどのような違いがあるのか検討したいと思います。

(1)給与と事業所得(外注費)の税務上の違いについて

  • 給与

アルバイト パート 社員などいろいろな雇用形態がありますが、すべて給与支払い時に所得税の源泉徴収義務が生じます。また、給与に対しては消費税はかからないので、不課税取引と取り扱われます。

  • 事業所得(外注費)

外注費の場合は、源泉徴収の必要はありませんが、外注費の支払いには消費税がかかりますので、消費税は課税取引として取り扱われます。

(2)給与と事業所得(外注費)の判定基準について

給与所得と事業所得は基本的には下記の通り区分されます。

  •  給与

雇用契約若しくはこれに準ずる契約に基づいて受ける役務の提供の対価

  •   事業所得(外注費)

請負契約若しくはこれに準ずる契約に基づいて受ける役務の提供の対価

ただし、実務上は形式的に契約書があれば外注費になるというものではなく、その区分が明らかでないケースがあり、その場合は下記の事項を勘案して総合的に判定することになります。

・代替性の有無

他人が代替して業務を遂行すること又は役務を提供することがみとめられるかどうか

・拘束性の有無

報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束を受けるかどうか

・指揮監督の有無

業務の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督を受けるかどうか

・報酬請求権の有無

不可抗力のため業務が完了していない場合において、自らの権利として既に遂行した業務又は提供した役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか

・材料又は用具等の供与の有無

業務に必要な材料又は用具等を報酬の支払者から供与されているかどうか

また、東京国税局では給与所得と事業所得の区分の参考として「給与所得と事業所得の判定検討表」を掲げています。(紙面の関係で今回は割愛させていただきます。)

給与か事業所得(外注費)かの判断は必ずしも上記の基準のみで判断されるものではなく、個別ごとに契約内容、業務実態に応じて総合的に判断することになります。

会社が事業所得(外注費)として処理していたものが税務調査で給与とされてしまうと、外注費に係る消費税の仕入税額控除が否認され、給与に係る源泉所得税が徴収されます。

給与所得か事業所得かの判断に迷われた場合には、お近くの税理士法人優和までご相談下さい。

東京本部 佐藤


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