令和5年10月1日よりインボイス制度が始まりました。いよいよ始まってしまったか~というのが本音です……
実際、顧問先様より数多くのご質問をいただいていますが、今回はその質問の中から一部をご紹介したいと思います。
・免税事業者へ支払った接待飲食交際費5,000円基準について(税抜経理の場合)
接待飲食交際費については資本金1億円以下の法人については800万円の定額控除を採用している法人がほとんどではないでしょうか。これらの法人以外は、接待飲食に参加した人数で割った金額が5,000円を超えるか否かで損金算入できるか判断しているかと思います。
インボイス制度が始まり、今後、接待飲食交際費を免税事業者へ支払った場合は今までと金額基準が変わるので注意が必要です。今までは税込5,500円以下であれば交際費に該当せず損金となりましたが、令和5年10月から3年間は免税事業者への支払いについては80%が仕入税額控除となり残りの20%部分は支払対価に含めることとなるため金額の算出が少々複雑となります。
例えば、税込5,500円を支払った場合、消費税500円の20%部分(100円)を支払対価の額に含めなくてはならないので支払対価が5,100円となります。そのため、インボイス制度が始まる前の基準であった税込5,500円では交際費に該当することとなります。今後3年間免税事業者へ支払う際の5,000円基準の判定は税込5,392円が基準となります。
上記が計算の内訳となっておりますのでご参考になれば幸いです。インボイス制度の疑問点などございましたら税理士法人優和までお気軽にご相談ください。
東京本部 井上 賢亮
先日の日本経済新聞に、国立科学博物館が運営に必要な資金をクラウドファンディングにより募った、という記事が掲載されました。(2023.11.12朝刊)
「新型コロナウイルス禍による入館料収入の激減や光熱費の高騰などにより」、「資料・標本の収集・保管」が危機に直面している状況下で、結果として目標額を上回る9億2千万円を集めた、という記事でした。
寄付金は支援者に対し、税制上の優遇措置があります。
数日前に相続税の相談に来られたある方は、相続財産の一部を寄付することを検討されていました。法人税や所得税では馴染みのある方も多いと思いますが、相続税にも寄付金控除の制度があります。
具体的には、相続・遺贈によって取得した財産を認められた寄付先に贈与した場合、贈与者等の「相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合」を除いて、その贈与した財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない、と規定されています。認められた寄付先とは、国や地方公共団体、特定の公益法人、認定NPO法人です。
地方公共団体も含まれますので、ふるさと納税における寄附(贈与)も、地方公共団体への寄附であるため、同制度の適用対象となります。
※相続等で取得した財産に係る「相続税の申告期限」までに贈与を行うことなど、一定の条件があります。
毎年、ふるさと納税を検討しつつも、限度額まで使い切っておられない方も多いのではないでしょうか。本年も残り2か月をきったこの時期、再度検討されてみてはいかがでしょうか。
京都本部 坂口
今夏も酷暑が続きましたが10月に入り、ようやく過ごしやすい日が増えてきました。と同時に、年末調整や確定申告に必要な各種控除証明も届きつつあり、今年も終盤戦を迎えたことを感じさせます。
今月14日、令和6年度税制改正では「賃上げ促進税制」の拡充が論点になっている、との見出しが躍っていました(日本経済新聞)。
中小企業における賃上げに関する税制上の優遇措置として、「賃上げ促進税制」があります。雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加した場合、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を税額から控除でき、雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加した場合は税額控除率を15%、教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加した場合は、税額控除率を10%上乗せすることができます。
この措置は2023年度末に期限が切れますが、令和6年度の税制改正で期限の延長などが盛り込まれる見込みです。
「賃上げ促進税制」や道府県民税における外形標準課税の「付加価値割の算定方法」など、国であれ地方公共団体であれ、人件費が意味なく削減される事に対しては、一定の危機感を持っているといえます。税額控除は、税負担を抑えるだけではなく、経済の発展にもひとやく買っていると言えるかもしれません。
すでに開始したインボイス制度や、電子取引の電子保存の義務化など、喫緊の対応に追われている事業者の方も少なくないと思います。
税理士法人優和では、最新の税制に基づき幅広くサービスを提供していますので、お困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。
京都本部 坂口
来月、令和5年10月1日よりインボイス制度が開始となります。
ここにきて取引先からのインボイス番号の確認があり、慌てて登録される方も多いようです。
令和5年10月1日からインボイスを発行するためには、今月末の令和5年9月30日までに申請を行う必要があります。
また、インボイス制度開始日後であっても、免税事業者の方の場合ですと、
登録申請の際に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載することで、その登録希望日から登録を受けることができます。
まだ登録をお迷いの方がいましたら、税理士法人優和までご相談ください。
茨城本部 渡辺
住民税、自動車税、固定資産税、不動産取得税など新たにキャッシュレスによる納税が可能になりました。
今までは納税のためにコンビニや銀行まで支払いに行くなど面倒な手間がかかっていたことでしょう。
この納税方法が・・・な、ななな何と!お家にいながらスマホの操作だけで出来ちゃうんです!
方法は簡単。
納付書に記載されているQRコード「eL-QR」をスキャンして読み取れば自動的にキャッシュレスによる納付画面に移動するので金額を設定すれば簡単に誰でも納付できます。
しかし、普通にやっては残念ながら1%のポイントはもらえません( ;∀;)
では、どうする諸君
おすすめは楽天ペイでチャージして納税する方法です。
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毎月1のつく日(1日、11日、21日、31日)にチャージをすると(事前エントリー必須)+0.5%の楽天ポイントがもらえちゃうんです。
この方法を使えば納税額の1%をgetできます。
1%・・・されど1パーセントです。結構デカいです。
税金の種類によってはもらったポイントでガソリン代くらい賄えます。
ガソリン代の高騰で財布が寂しいと仰るそこのあなた、値上がりラッシュでイライラを抑えきれないあなた。もらったポイントで懐を温かくしてみませんか?
(注意点:一回の納付上限は30万円までです。)
余談ですが、、、楽天ペイではポイント(期間限定ポイント含む)での納税も可能です。
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最近はポイントラッシュと思えるほどポイントセールがたくさんあります。
是非一度試してみてはいかがですか?
人生観が変わるはずです!!!
知らんけど、、、、、
茨城本部 大河原
いろいろなお客様とお話する中で最近よく聞くのが「土地なんか持ってても大変なだけで何のいいこともない、ほっといても草刈はしなくてはならないし、本当に困る、売れても二束三文だしまさに負動産だ!」と嘆かれる方が多いように感じます。
確かに首都圏の交通の便の良い土地ならまだしも、建物の建築制限が厳しい地方の市街化調整区域や高齢化で耕作人がいない農地などは、なかなか買手がつかないといいます。維持費や固定資産税ばかりがかかるので手放したいと考える方も増えているでしょう。このような土地を相続を契機に取得した場合、取得者の負担感が増加し管理の不全化も招いてしまいます。
そこで相続した土地を手放したいと考える方の新たな選択肢として相続土地国庫帰属制度が創設され令和5年4月27日から施行されました。
これは、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能にする制度です。
国庫に帰属した土地は、普通財産として国が管理・処分し、主に農用地として利用されている土地、主に森林として利用されている土地は農林水産大臣が管理・処分し、それ以外の土地については財務大臣が管理処分します。
要件は、
①通常の管理又は処分をするにあたり過分の費用又は労力を要する土地は対象外
具体的には、建物の存する土地、担保権や使用収益の権利が設定されている土地、墓地、境内、通路等などの用に供されている土地、特定有害物質に汚染されている土地、境界等争いのある土地は申請しても却下されます。
また、勾配が30度以上であり、かつ、高さが5m以上の崖がある土地、土砂崩落など災害に発生防止のための措置が必要な土地等も不承認要件として挙げられております。
②土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費用相当額の負担金の納付が必要、審査に要する実費として審査手数料の納付も必要です。
負担金算定の具体例として、宅地、田畑は面積にかかわらず一筆20万円、ただし一部の市街地の宅地については面積に応じて算定されます。(例100㎡ 約55万円、200㎡ 約80万円)同様に一部の市街地、農用地区域等の田畑についても面積に応じて算定されます。(例500㎡ 約72万円、1,000㎡ 約110万円)また、森林は面積に応じ算定され、例として1,500㎡ 約27万円、3,000㎡ 約30万円となります。
この制度を利用するにあたり、デメリットとしては家が建ってる場合は国庫に帰属できないため、更地にしなくてはならずそのための家の解体費用がかかる、境界が明らかでなければ測量が必要となるなど管理費用以外の金銭的な負担があります。
いずれにしましても固定資産税を払いながら管理を続けていくか、または金銭的な負担はあるがその管理から解放されるか、メリットデメリットを勘案して、この制度の利用の可否を考えていく必要があるでしょう。
埼玉本部 瀬島 通予
令和2年4月1日より配偶者居住権が施行となってから3年が経過しました。
このいわゆる配偶者居住権が創設された発端は平成25年9月4日の最高裁決定により非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分の1/2であるという民法の規定が違憲であるという判断が下されたことによります。
この判断により例えば相続人が被相続人の配偶者と前妻の子のみだった場合、配偶者が今まで住んでいた自宅を相続できず、自宅を手放さざるを得ないという事態が想定され、このような事態を回避させるために仮に配偶者以外のものが配偶者の住んでいた自宅を相続したとしてもその自宅に今まで通り住み続けることのできるように民法を改正する必要に迫られ、約40年ぶりの改正につながったわけです。
この民法改正により相続税法もその取扱いを規定したことにより、当初民法上想定された趣旨以外に「相続税の節税目的」としての配偶者居住権の設定が可能となりました。
そうなると相続税の申告業務にあたり我々税理士は節税スキームのオプションのひとつとして、この配偶者居住権を設定するか否かの検証なく申告してしまうことはかなり危険な状態であると言えるようになりました。
具体的には、建物につく「配偶者居住権」と土地につく「敷地利用権」はその配偶者の死亡後には相続財産に含まれないことから、配偶者固有の財産の有無だとか配偶者と同居している子の有無だとかをその事例ごとに検証し、配偶者の子が同居している場合などは1次相続の段階で子が自宅を相続することにより小規模宅地の特例を利用でき、配偶者には配偶者居住権を設定することにより次の2次相続まで通算すると最終的には納税額が配偶者居住権を設定しない場合と比べ少なく抑えられる可能性がでてくるということです。
ただし、この配偶者居住権には民法上譲渡が禁止されていたり配偶者が配偶者居住権を放棄すること等によりその権利が消滅してしまうと土地建物の所有者である子に「みなし贈与」がかかるといったりリスクを事前に理解した上で最終的に判断しないと後にトラブルのもととなることもありますので、十分に注意が必要です。
いずれにせよ配偶者居住権による相続税の節税を視野に入れる場合はシミュレーションが命です。検討してみたいという方は税理士法人優和まで是非ご相談頂ければと思います。
埼玉本部 菅 琢嗣
令和5年度の税制改正で相続時精算課税制度の改正が行われました。今までは使い勝手が悪く利用率が低迷していましたが、改正によって改善されています。
現状は相続時精算課税制度を選択すると贈与の都度申告が必要でしたが、年間110万円以下の場合には申告が不要となりました。
改正前においては相続時精算課税適用後のすべての贈与財産が、相続時に相続財産として課税されましたが、改正後は基礎控除分(年間110万円)を相続財産に加算しなくてよくなりました。
相続時精算課税制度の110万円控除と暦年贈与の基礎控除110万円は別枠となりますので、相続時精算課税制度を適用した贈与者以外からの贈与では暦年課税が適用可能です。
有利な改正となり使いやすくはなりましたが、ベストな選択になるかはご自身の財産状況によっても異なってくるので、よく検討が必要です。
興味・質問等ございましたら、ぜひ税理士法人優和までご相談ください。
東京本部 有本
令和5年度税制改正により電子帳簿保存制度の見直しがされました。見直しの内容はいくつかありますが、皆様方が関心が高いと思われる事項をご紹介いたします。
まず、「電子取引情報の検索要件の見直し」です。改正前では税務調査時にダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合、必要とされていた検索要件ですが、以下のように緩和(不要と)されました。
上記事業者は、改ざん防止措置(取扱規定等)は必要ですが、電子データを検索できる 状態にして保存する必要はなくなりました。(②の事業者は紙の保存は必要です)
次に、「新たな猶予措置」が創設されました。税務署長が相当な理由があると認める場合、以下の事業者は電子データを保存した上で紙の保存が認められました。
上記事業者は、改ざん防止措置と検索要件も不要となります。
具体的な適用事例などは今後公表されるものと思われますが、いずれにせよ電子データの保存はすべての場合においても必須ですので、今のうちに保存方法について再検討いただくといいかと思います。
法律上要請される電子データの保存ですが、これをきっかけに会計業務の効率化まで検討いただくのが本来の趣旨かと思います。効率化に興味がございましたら、是非、税理士法人優和までご相談いただければと思います。
東京本部 木村
今年も確定申告の時期となりました。
最近では会社勤めの方にも副業が認められるケースが増え、給与以外の収入が発生する方も多くなって来たのではないでしょうか。
副業が雑所得の場合、(副業)所得が20万円以下の場合は申告不要となるケースがほとんどですが、事業所得なる場合があります。
どちらに分類されるかについては、昨年10月に『「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)』が公表されています。
事業所得は給与所得等と損益計算が可能ですが、事業の実態がない副業から生じる損失を赤字の事業所得とし、給与所得等と損益通算することで納税を不当に回避する事案が問題となっていました。
そこで改正基本通達(所基通35-2)では「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか」で判定するとともに、「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存」をしていれば、概ね事業所得に該当するとしています。
ただし同日に『雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説』も公表されており、帳簿書類の保存等があっても、
①その所得の収入金額が僅少と認められる場合
②その所得を得る活動に営利性が認められない場合
は事業性を個別に判断するとしていますのでご留意ください。
京都本部 坂口