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優和ビジネスブログ

相続したくないとき

 相続財産に借金などのマイナスの財産が多いときには、相続をしないという選択肢があります。すべてを相続しないことを「相続放棄」と言います。亡くなった日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てることで認められます。複数の相続人がいても、一人の相続人だけ放棄することができますし、その相続人単独で手続きをすることが可能です。
 これに対して、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことを「限定承認」と言います。借金のみが残るような相続はしないという選択です。こちらも3か月以内に手続きが必要です。ただし、「限定承認」は相続人全員の同意が必要ですので、単独で手続きをすることはできず、相続人全員が共同で手続きを行うことになります。
 何もせずに3か月の期限を過ぎると、プラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐ「単純相続」になります。この3か月内に「相続放棄」や「限定承認」の判断できないときは、家庭裁判所に期間の延長の申請をすることができます。
 通常、相続税の申告期限は被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内ですが、10か月あると思って相続財産の調査を後回しにしていると、思いもよらない被相続人の債務が判明するケースもあります。3か月という「相続放棄」「限定承認」の期限も頭に入れながら余裕をもって相続手続きをすすめるようにしましょう。
京都本部 中村真紀


大廃業時代到来か?

近年、中小企業の廃業が増えているそうです。
しかも、廃業する企業のおよそ5割が経常黒字とのことです。
廃業の原因は後継者不足によるもので、2025年には経営者の平均年齢が70歳をこえるとの声も出ているようです。
このまま廃業を見過ごしていくと、2025年までの累計で660万人の雇用が喪失される恐れがあり、これは働く人口の約10%と言われています。
政府はこのような状況に歯止めをかけるために、税制改正大綱をまとめる考えをもっているようで、今後M&Aを行うことにより税負担が軽くなると考えられます。
私の個人的な意見では、廃業を考えている企業の多くは設備や人材のみではなく、長年培われてきたノウハウが多く残されており、今後多角化を目指す企業にとっては、自社で新規事業を始めるよりもM&Aにより買収する方が有利に事業を展開できるのではないかと思います。
また、売却する企業にとっても、廃業という選択よりも何らかの形で事業が受け継がれていくならば、とても喜ばしいことではないかと思います。
今後、税制改正によりM&Aによる税の優遇措置が得られるならば、M&Aはより活発化されると考えられます。
茨城本部 大河原


遺族年金について

今回は遺族年金について記載します。
遺族年金と言うと、余り馴染みはないかも知れませんが、もしも自分の夫や妻にもしものことがあったときに支払われる年金になります。
もちろん、社会保険の加入状況に応じて年金の金額や種類が異なります。
今回は、簡単に用語の説明をさせて頂きます。
遺族年金と一言でいっても、色々な種類の年金があります。
具体的には、①遺族厚生年金、②遺族基礎年金、③中高齢寡婦加算です。
1.遺族厚生年金
厚生年金に加入している方(2号被保険者)が亡くなった場合に、遺族に支払われる年金です。特徴としては、一生涯支払いがなされる点があります。納付する年数に応じて支給される金額が変動するのですが、例えば25年未満の納付だと生涯平均月収の1.25倍ほどと言われています。
仮に平均月収が40万円で20年務めた方ならば50万円/年額です。
余談ですが、再婚すると支給停止となりますのでご留意ください(笑)。
2.遺族基礎年金
国民年金及び厚生年金に加入している方(1,2,3号被保険者)が亡くなった場合に支給されます。特徴としては、子供がいる必要があります。年金法上の子供は18歳になるまでという定義があるため、具体的には18歳になると支給停止となります。
金額は779,300円/年で、子供の人数で加算があります。
子供の加算は1人目と2人目までは224,300円/人で3人目以降は74,800円です。
例えば、18歳以下の子供が3人いるとすると、
779,300+224,300+224,300+74,800=1,302,700円/年です。
3.中高齢寡婦加算
厚生年金に加入している方(2号被保険者)が亡くなった場合で、妻に限りもらえます。遺族基礎年金が子供が18歳になり、支給停止になったら支給がスタートし、自分自身の老齢基礎年金がもらえる年齢の65歳になるまで支給されます。
40歳~64歳までもらえます。
金額は584,500円/年です。
このように、もしも自分の配偶者等が亡くなった時には遺族年金が支給されます。
ただし、金額については思いのほか少ないと思われるかも知れません。
仮に夫が居なくなったあとに同様の生活をするために必要な資金を示す方式でホフマン方式があります。ホフマン方式によると、同レベルの生活を継続するには、夫の月収×70%が必要となるそうです。
身近な人に何かあった時に備えておくことも必要ではないでしょうか。
今回の記載内容が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
茨城本部 楢原 英治


貸家建付地における賃借割合について

 相続税において最もポピュラーな節税対策の一つとして「賃貸アパート」の建設が挙げられるのではないでしょうか。
 アパート建設の際の借入金が債務として相続財産から控除されることで相続財産を圧縮する効果があり、更にその土地については約2割に評価減、建物については3割の評価減・・・と、何だかいいこと尽くめの節税対策のように思えてしまいますが、ここのところこの「貸家建付地」絡みの節税策について何やら雲行きが怪しくなってきたように感じられます。
 そもそも自分の土地の上に建てた建物に賃料を貰って他人を住まわす行為については、専門的な用語で言うところの「借家権の支配」が及ぶこととなり、その人を勝手に退去させることはできず、退去してもらうには立退料という費用が発生することとなり、そのように自分の土地建物について自由な使用が制限されることに対して財産評価上、評価減という斟酌がなされることとなっております。
 しかしながら賃貸集合住宅においては、常時満室という状態が続くということは地域によっては考えづらく、築年数が経つほど空室割合が増すほうが一般的なのです。
 ここが問題で、相続税における財産評価は相続発生時における時価となっており、つまり亡くなった日にその部屋に入居者がいない場合、その部屋については「借地権の支配」が及んでないことから、その土地及び建物についての評価減を受けられなくなってしまうのです。
 ただし、さすがにたまたま亡くなる直前に入居者が退去してしまい、すぐに新たな入居者が入るケースについては、入居者がいるとみなして評価減を受けることができるのですが、その要件として常に賃貸用として募集もしている等の場合、課税時期前後概ね1か月程度の空室については、入居者がいるものとして評価減が認められるという国税庁の情報が公開されております。
 ここでいつも揉めるのが、「課税時期の前後の例えば1か月程度の空室期間」についての解釈なのです。
平成20年6月の高松国税不服審判所裁決事例では、空室期間が生じた諸事情も考慮すべきとし、最長1年11か月の空室期間も一時的な空室として認められこの裁決が一時的な空室の期間についてのジャッジにおいて重要な判断材料となっておりましたが、ここのところの裁決事例ではその一時的な空室に期間が短くなっており、とうとう平成29年5月11日の大阪高裁において5か月の空室を長期間と判断される判決が出てしまいました。
このような流れがスタンダードとなってしまうと、課税庁側は金科玉条の如く課税時期前後1か月以上は空室と判断してくることとなるでしょうし、納税者側としてもこの空室期間についての諸事情を主張しづらくなってしまうのではないでしょうか。
例えば、10室のうち8室が空室というアパートの場合、20%の評価減がたった4%の評価減となってしまうのです。
 昨今の賃貸アパートの建設ブームを考えると、今後も築年数が経てば経つほど空室が増える可能性は高くなり、せっかく節税対策として建てたアパートも建設当初に想定していた評価減を十分に受けられなくなるという事態が今後増々増えてくるのではないでしょうか。
埼玉本部 菅 琢嗣
 


広大地評価において今年中に「やっておくべきこと」と「やってはいけないこと」

もう、皆さん周知のことかと思いますが平成30年1月1日以降現行の広大地の評価(財産評価基本通達24-4)が廃止され、地積規模の大きな宅地の評価が新設(新評価通達20-2、以降の通達番号は1項ずつ後退する予定)されることとなる見込みとなりました。
現行の広大地評価は、評価に主観性が多く盛り込まれ鑑定評価やその通達の解釈の相違等の裁決事例の多さからわかる様に納税者側だけでなく課税庁側も相当苦心していたことは想像に難くないところでした。
それだけでなく、市場価額と相続税評価額の差額に着目し、地形のよい広大地を生前に購入し、相続後に売却するといった一種のタワマン節税に似た相続対策が横行していたことも課税庁側とすると苦虫を噛み潰す思いであったこともまた想像に難くないところでした。
このような過去の経緯からしても今回広大地評価の「改正」ではなくわざわざ「廃止」して「新設」するという、この主観性のかたまりだった広大地評価から完全決別したいという課税庁側の強い意気込みすら感じ取れるように思われます。
今回の改正について今年の12月31日までに想定される動きを5つのカテゴリーに区分してみました。
① 現行広大地評価は適用可で新通達は適用不可
② 現行広大地評価は適用可で新通達も適用可
③ 現行広大地評価は適用可能性50%以下で新通達は適用不可
④ 現行広大地評価は適用可能性50%以下で新通達は適用可
⑤ 現行広大地評価は適用不可で新通達は適用可
①②については、今年中に相続時精算課税を利用して広大地評価が適用可能な土地について生前贈与の検討も必要になりそうです。勿論相続時精算課税を利用した場合、その後暦年贈与ができなくなることも考慮する必要はあります。
③については、最悪広大地評価が相続税申告後否認されたとしてもどちらにせよ加算税等の課税のみなので納税者にリスクを説明したうえで通常通り状況によってはチャレンジする価値はありそうです。
問題は④で、仮にチャレンジして失敗した場合加算税等のみならず新通達の評価減についても捨てる結果となることからもあまり可能性が低いようであれば安全策をとって新通達の評価減を選ぶべきかも知れません。
⑤については問題なく来年までスルー。
新通達の評価については、例えば容積率の条件についても建築基準法52条1項(指定容積率)についてしか謳われてなく、基準容積率や容積率の加重平均については何も触れられておらず対象から外れることが濃厚であることから、これらも年内に贈与するか否かの判定において重要な判断材料となりそうです。
           
埼玉本部 菅 琢嗣


公益法人が寄付者から受け入れた資産の使途の制約について

 寄付者から受け入れた資産で、寄付者より資産の使途について制約が課されているものについては、指定寄付金として受け入れることになります。
指定寄付金として受け入れるか否かにより会計処理が異なります。そのため、寄付者の使途の指定が、どの程度具体的になされている必要があるかが問題となります。
 この点、使途の制約については、例えば、「公益目的事業の○○事業に充当して欲しい」や「奨学金事業の奨学金の財源に充当して欲しい」と具体的に表現される必要があり、「公益目的事業に使ってほしい」というだけでは、一般には、使途の制約があるとは認められません。
寄附を受ける時点で、寄付者の意思を十分に確認し、明確にしてもらうことが必要となります(新たな公益法人制度への移行等に関するよくある質問(FAQ)問Ⅴ‐4‐12)。
 公益法人が寄付を受ける際には、上記の点に注意する必要があります。
東京本部 小林


「広大地評価」から「地積規模の大きな宅地の評価」へ

平成29年度税制改正の大綱において、相続税等の財産評価の適正化として相続税法の時価主義の下、実態を踏まえて広大地の評価について現行の面積に比例的に減額する評価方式から各土地の個性に応じて形状、面積に基づき評価する方式に見直すとともに、適用要件を見直すこととされました。
 
現行の「広大地補正率」から「規模格差補正率」への見直しで、相対的には補正率が下がり、個々の納税者にとっては不利となるケースも当然に生じると思われますが、一方、適用要件が明確化・簡素化されることによって、今まで適用できなかったマンション等の敷地、既に宅地として有効利用されている建築物の敷地、路地状開発することが合理的な宅地等であっても対象となることが考えられ、新たに減額の対象となる方が拡大すると思われます。
■要件の比較
「広大地」(見直し前)
・その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地であること。
・開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものであること。
・大規模工場用地に該当するものでないこと及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものでないこと。
「地積規模の大きな宅地」(見直し後)
三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、それ以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地で、次のいずれかに該当するものを除く。
・市街化調整区域(宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域を除く。)に所在する宅地
・工業専用地域(都市計画法8①一)に所在する宅地
・容積率が400%(東京都特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
要件はとてもシンプルになりました。
平成30年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与のより取得した財産の評価から適用されます。
東京本部 根生隆行


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