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優和ビジネスブログ

軽減税率

恐らく、令和元年10月1日から施行されるであろう消費税の軽減税率ですが、本ブログでは実際のケーススタディを考えて一問一答方式にしたいと思います。

第一問

食品販売業者が販売する食料品は基本的に8%の軽減税率が適用されます。

もちろん、この場合の食料品は人が食べることを前提になっています。 

では、食品として販売されている野菜や果物を消費者が家畜の餌にする目的で購入する場合、または神様のお供え物に使用するのみの目的で購入された場合は軽減税率が適用されるのでしょうか?

答え:軽減税率は適用される。

家畜の餌は人が食べるものではない。お供え物は神様が食べるものだから軽減税率が適用されないと考えた方・・・ハズレです。

解説

食品の軽減税率が適用されるか否かは、販売業者が何を目的として販売しているかによるもので、消費者がどのような目的に使用するかは関係ありません。 

 これを本問に当てはめると、販売業者が食品として販売していることからその目的は人が食することを前提としています。なので、消費者が家畜の餌やお供えものに使用したとしても、販売者側の目的が食品としてならば軽減税率が適用されます。

第二問

飲食店内で飲食した場合は10%の消費税が課され、持ち帰ったら8%の軽減税率が適用されます。

では、公園でクレープの屋台販売をしているとします。Aさんは屋台でクレープを購入し、屋台の目の前にあった公園のベンチでクレープを食べました。この場合Aさんは店内の飲食とみなされて10%の消費税を課されるのでしょうか? 

なお、屋台販売者は公園のベンチの使用許可を得ていません。

答え:8%の軽減税率が適用される。

屋台の目の前にあったベンチでクレープを食べたのなら店内飲食だと考えた方・・・ハズレです。

解説

店内飲食とみなされるためには、飲食スペースを販売者自ら設置した場合、あるいは他の者の飲食スペースの使用許可を得ている場合です。

これを本問に当てはめると、公園のベンチは公共のもので、販売者所自ら設置したものではなく、また使用許可を得ていません。

なので、屋台でクレープを購入したAさんは、持ち帰ったクレープを公共施設である公園のベンチで食しただけなので8%の軽減税率が適用されます。

なお、フードコート内の飲食の場合は、飲食スペースを自ら設置していなくても、通常設備設置会社と販売者との間で設備を顧客に使用させることの合意がなされていると考えられるので、軽減税率の対象外となるのでご注意ください。

                            茨城本部 大河原


持分なし医療法人への移行について(後編)

 前回、認定医療法人制度改革についてその概要、全体像について解説しましたが今回はその各論についてです。

 持分なし移行にあたっては厚生労働省の認定を受ける必要があり、その認定といういわばお墨付きをもらうことで医療法人への贈与税が回避されることとなることから認定要件についての詳細に関して正しい認識が必要となります。

 第1次の認定制度で申請が進まなかった最大の理由として同族親族役員等を3分の1以下とする要件があり、今回の新たな認定制度においてこの要件が外れたことが大きな改正点となりました。

 ただし、その他の要件については前回と変更点はなく、特に多くの持ち分あり医療法人にとって最も困難な要件として「法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと」が挙げられます。

 その例として多くの医療法人では理事長たる役員医師の社宅があるケースが見受けられますがこの場合、他の従業員社宅があるとすると賃料が同等でなければならず、社宅の場所についても、クリニックの近隣にあるといった場合は緊急時の対応のためといった大義名分がありますが、例えば埼玉にクリニックがありながら社宅が都内の高級住宅地にあるといった場合、認定をうけることは非常に困難な状況となります。この場合、理事長個人に売却するといったことを検討する必要があります。

 今までの医療法においては法人と役員の間における不動産の売買については特別代理人の選任及び不動産鑑定士による鑑定が必須条件でしたが、平成30年10月よりこれらの手続きが不要になったことから売却するといったオプションは使いやすくなりました。

 その他では「役員報酬について不当に高額にならないように定める」ことについては、特定医療法人の要件が年間報酬額が3600万円以下となっておりそれ以下であれば問題なさそうですが、それ以上だとしても不当に高額かどうかというと悩ましいところです。

 遊休財産が事業費用の額を超えてはならないという要件も意外と厄介かもしれません。通常それなりの年数にわたりクリニックを経営してきた場合内部留保が潤沢になっているケースも多く使途が特定されていない預金及び未収の保険診療報酬も遊休財産に該当することから年間の事業費用くらい超えてしまう内部留保があってもおかしくありません。

 ただし、この場合は減価償却引当特定預金といって通常の預金の一部の使途を帳簿上特定させることで遊休財産から外すことが可能となりますので検討する余地はありそうです。

 認定申請期限まで残すところ1年弱となりましたが、当然のことながら必ずしも持ち分なしへ移行することがドクター一族及びその医療法人にとっての最良の相続対策になるとは限りません。現在の株価を注視しながら出資持分を相続財産に含めることが得策な場合もあるかと思いますので十分に検討してから判断されることが求められます。

  埼玉本部 菅 琢嗣


持分なし医療法人への移行について

 令和2年9月30日は、認定医療法人制度改革にとってひとつの重要な期日となっております。

 この日までに厚生労働省による認定医療法人としての認定を受けることによって、将来発生することが想定される医療法人への出資持分(株式会社でいうところの株式のようなもの)に対する多額の相続税の心配がなくなるかもしれないのです。

 ことの始まりは平成18年度改正医療法による医療法人制度改革で、それ以降に新設される医療法人については出資持分の存在を認めないというものでした。

 医療法では医療機関の非営利性が大原則で本来は医療法人の残余財産の帰属先が出資者個人であってはならないことから、このような制度改革が行われましたが、それ以前に設立された医療法人の出資持分については「当分の間」はそのまま黙認するが持分なしへの自主的な移行を促すといった曖昧なものでした。

 そこで平成26年10月1日から平成29年9月30日の間に一定の要件を満たせば持分なし医療法人への移行を認定するという認定制度が始まったのですが、如何せん認定要件のハードルが高く、将来の相続税が安くなるのはよいが例えば同族親族役員等を3分の1以下としなければならないといった医療法人の経営の根幹にかかわる認定要件が盛り込まれておりこのようなことが足かせとなり厚生労働省の思惑どおりに移行が進まなかったのが現状でした。

 そこで今回認定の期限を平成29年10月1日から令和2年9月30日まで3年間延長してさらに認定要件を大幅に緩和することによって持分なしへの移行がかなりの法人で進むのではないかと期待されております。

 そもそも持分なしへ移行する行為自体は定款を変更する程度のことなのですが、なぜその行為にわざわざ厚生労働省の認定といういわばお墨付きをもらわなければならないのかというと、そこに贈与税の問題があるからに他ならないのです。

 通常贈与税は個人に課税されるものなのですが、医療法人の出資持分を出資者全員が放棄した場合、なんと医療法人に贈与税がかかることとなるのです。

 だからこそ多くの医療法人は持分なしへの移行に慎重にならざるを得ないのかも知れません。だからといってこのまま無策でいると多額の相続税が、移行すれば多額の贈与税が・・・といったジレンマに陥っていた多くの持分あり医療法人にとっては千載一遇のチャンスであり、且つそれはファイナルアンサーになるのかも知れません。

 具体的な認定要件の緩和については次回へと続きます。

   埼玉本部 菅 琢嗣


消費税率10%時の「特別特定取得」に該当する場合の住宅ローン控除の特例

令和元(2019)年度税制改正では、消費税率の引き上げに伴い住宅に対する税制上の支援措置として、個人が住宅の取得等をして令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住の用に供した場合に、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(住宅ローン控除)の特例が創設されました。この特例を受けるには、消費税率10%時における
「特別特定取得」に該当し、確定申告書に一定の添付書類が必要となります。

この特例は、個人が住宅の取得等で特別特定取得に該当するものをし、かつ、その住宅の取得等をした家屋を令和元年10月1日~令和2年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、適用年の11年目から13年目までの各年における控除額として、税額控除の適用を受けることができます。

適用年の11年目から13年目までの各年の住宅ローン控除額は、(1)一般住宅の場合、(2)認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合、(3)東日本大地震の被災者等に係る住宅取得等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の対象となる再建住宅の場合の各区分に応じて、次の①または②のいずれか少ない金額を控除することができます。

①  住宅借入金年末残高×1%((3)の場合は1.2%)

②  建物購入価格×2%÷3年

住宅借入金残高及び建物購入価格については、上記(1)の場合は4,000万円 (2)(3)の場合は5,000万円が限度となります。また、適用年の1年目から10年目までの10年間は、従来の住宅ローン控除を受けることができます。
ここでいう「特別特定取得」とは、住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等相当額が、消費税及び地方消費税の税率引上げ後の10%の税率で課されるべき消費税等である場合の住宅の取得等をいいます。

なお、特別特定取得に該当する場合には、特定取得と同様、確定申告書に工事の請負契約書の写しや売買契約書の写し等で特別特定取得に該当する事実を明らかにする書類の添付が必要になります。

東京本部 佐藤 芳明


税金を滞納してしまった時は・・・

現代社会で生活するうえで切っても切り離すことができない税金。自己所有の家に住んでいれば固定資産税、自動車を所有していれば自動車税、もちろん毎日のお買い物で支払っている消費税など、私たちの周りには様々な、そして数多くの税金が存在しています。


『あなたは税金を滞納したことがありますか?』大多数の人は、この質問に対しノーと答えると思います。それは、税金には納期限なるものがありこの期限までに納めなければならないというルールがあるからです。

では、うっかり支払うのを忘れてしまいこの納期限までに支払うことができなかった場合どうなるのでしょうか。以下に、個人事業を行っていて所得税の支払いをうっかり払い忘れてしまった人(以下、Aさん)のケースを見ていきます。

まず、所得税の支払いを忘れてしまったAさんのもとには、税務署から所得税の納期限から50日以内に催促なる督促状が届くようになっています。ここで、すぐに支払えばめでたしめでたしなのですが、税務署がこの督促状を発した日から10日を経過した日までにAさんが所得税を支払わない場合には、いよいよ財産の差押えが始まってしまいます。(税務署が督促状を発した日から期限がカウントされてしまうので手許に督促状が届くまでにタイムラグが発生してしまうのを注意しなければなりません。)

ただ、差押えにもルールがあり金目の物であればどれもこれも没収されるわけではありません。差押えが禁止されている財産というのも定められていて、例えば、Aさんが生活するうえで必要な衣服や家具、Aさんの事業を行う上で必要な仕事の道具、Aさんの事業や生活に欠かすことが出来ない実印など、最低限事業、生活を行う上で必要な物は没収されません。これらを没収してしまうとAさんは収入を得ることが出来なくなってしまうからです。ただし、生活に必要でも自己所有の家や自動車などは差押えの対象となるので注意が必要です。他にも、仏像や位牌、Aさんに子供や親族がいた場合のこれらの人の学習に必要な書籍や道具なども差押えが禁止されています。

話しが変わるのですが、仮にAさんがサラリーマンで住民税を滞納し差押えを受けたとします。この場合、当然給与が差押えられてしまうのですが、この給与についても源泉徴収される所得税に相当する金額、Aさんが暮らしていくのに必要な最低生活保障費に相当する金額についても見逃してくれます。

以上の通り、税金をうっかり払い忘れてしまい差押え手続きがはじまってしまうと非常に厳しい処分が下されてしまいます。もし、資金的な関係で税金を支払うことが難しいときや、うっかり払い忘れてしまったときは早めに税務書に相談するのが良いのかもしれませんね。

東京本部 井上 賢亮


軽減税率対策

 元号が変わり平成から令和になりました。長いゴールデンウィークも終わりなかなか仕事モードにやっと切り替えができてきたような気がします。

 サービス業の方はゴールデンウィーク中お仕事がお忙しい方が多かったものと思われます。

 先日飲食店の方から消費税が10月から変わるのにどうしたらいいかという質問を受けました。

 そのお店はレジを導入していなかったのでレジの導入の検討とメニュー表の表記等についてご説明しました。レジの導入には軽減税率対策補助金なども活用できるのでこれを機に導入を考えるのも良いかと思われます。

 また税率が変わることによって利益にも影響してきます。もし税込価格を据え置いた場合には税込みの売上は変わりませんが、税抜の売上額と利益額が減少します。

【例】

・消費税8%時

売上額(税込)1,080円の場合、売上額(税抜)は1,000円です。仕入額(税抜)が500円だとすると粗利益は500円となります。

・消費税10%時(税込価格を据え置いた場合)

売上額(税込)1,080円の場合、売上額(税抜)は982円です。仕入額(税抜)が500円だとすると粗利益は482円となってしまいます。

このように利益額自体は3.6%の減少となります。消費税の引き上げ分を価格に転嫁していない(上記の場合は売上額(税込)を1,100円にしない)と経営が圧迫される可能性もでてきます。

価格を転嫁することで消費者にとっては購入価格が上がるわけなので、お客様が減ってしまうリスクもあります。集客のためには一部メニューの価格を据え置いたり、利益をとれるよう新メニューを開発したりなどの工夫も必要になってくるかと思います。

 他にも資金繰りなどにも注意する必要がありそうです。

軽減税率制度が導入されると、飲食店の食事の提供による売上は消費税率10%になります。

一方で食材の仕入れについては消費税が8%のままということになります。

そうすると、支出は今までと変わらず入金が多くなり、日々の資金繰りが良くなります。

ただ、これは預り消費税の金額が多くなっているだけなので決算時の納税額が増えることになりますので、日々の現金収支だけでなく決算時の対応も検討することが重要です。

池袋本部 有本 潤


LEDランプへの取替費用の取り扱いについて

先日とあるお客様から、蛍光灯からLEDランプへの取替費用の処理科目についてご質問がありました。私は照明設備(建物附属設備)として資産計上が必要だと判断したのですが、お客様は、「国税庁のHPには修繕費として処理するように書いてありますよ。」とおっしゃいます。

そこで、あわてて「国税庁 LED」と検索したところ、下記の国税庁質疑応答事例にたどりつきました。

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/12.htm

「今回のように蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、節電効果や使用可能期間などが向上している事実をもって、その有する固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかとも考えられますが、蛍光灯は照明設備がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとはいえないと考えられますので、修繕費として処理することが相当です。」と回答されています。

確かにお客様がおっしゃる通り、修繕費として処理せよと書かれてはいますが、よく読んでみると前提条件がありました。今回の質疑応答事例では、「建物の天井のピットに装着された照明設備については、特に工事が行われていない」というのが前提となっています。

そして、お客様の状況をよくよく確認してみると、単純な蛍光灯の交換ではなく、LEDランプの規格に合わせるための照明設備の改良工事を行ったとのことでした。こうなると、この改良工事は、蛍光灯型LEDランプへの取替より節電効果や照明設備の充実による作業の効率化などが期待できるものになることから、修繕費ではなく資本的支出に該当すると考えられ、また、照明設備と蛍光灯型LEDランプは、これらが一体となってその新たな機能が発揮されるものとなることから、単なる部品の取替の場合と異なり、改良工事費用一式を資本的支出として処理することが相当と考えられます。

このように、国税庁のHPに記載されている内容は有用なものが多く、税務判断の参考になりますが、一つ文言を見落とすだけで、全く違った結果になることもありますので、判断に悩まれた際は、ぜひ税理士法人優和までご相談下さい。

池袋本部 木村


不動産と税金

先日、「不動産と税金」というテーマでの相談会がありました。
当社が税理士として相談を受ける側なのですが、「不動産と税金」と言ってもテーマは幅広く、突き詰めようと思えば雲を掴むほど(と言ったら言い過ぎでしょうか・・)あります。

シチュエーション別に分けると、
・ 不動産(土地、建物)を手に入れるときに掛かる税金
・ 不動産を保有しているだけで掛かる税金
・ 不動産を貸したときに掛かる税金
・ 不動産を売るときに掛かる税金
・ 不動産を相続・贈与したときの税金

不動産に関する取引をしたのが法人か個人かにもよりますが、税目でいうと、所得税、法人税、印紙税、登録免許税、不動産取得税、消費税、住民税、事業税、相続税、贈与税などなど・・・という形になります。

税金の計算は専門的で難しい部分もありますが、「買ったり、売ったりするときに、どれくらいの税金がかかるか」を何となくでも知っていないと、大変なことになることがあります。例えば「予算3,000万円で土地を買う」というときに、物件価格3,000万円の物件を購入してしまうと、購入に掛かる税金を払う資金がなくなってしまうため、税金や、不動産屋さんの仲介手数料などの諸費用も考慮して、物件価格を考える必要があります。また、「土地を3,000万円で売る」という場合、売却に対する税金がおよそ20%程度掛かるので、手元に残る金額は少なくなることに注意が必要です。

これらの税金の中には、取引をしたその時点で払う税金もあれば、忘れた頃に国や自治体から通知が来て払うものもあります。「この取引をしたら、いつ、どれくらいの税金を払うのか」を把握しておくことも重要です。

また、所得税や相続税などを中心として、「一定の要件を満たせば税金が安くなる」という特例があるものもあります。その要件を満たせば税金が自動的に安くなるわけではなく、自分で一定の資料を準備して、申告書を提出することで初めて適用される特例もあるので、その特例を知らなければ、余分な税金を払うということもありえます。

不動産を取得したり、売却したり、賃貸したりなど、不動産に関する取引をする際には、「いつ、どれくらい税金がかかるのか?」ということも含めて、検討するようにして下さい。

京都本部 吉田


単身で海外赴任される住宅ローン控除

こんにちは! 今回は単身で海外赴任される方の住宅ローン控除の取り扱いについて紹介させていただきます。

今時、海外に支店を持っている企業も多く、いつ海外転勤になってもおかしくありません。

自宅を購入されている方で住宅ローン控除を受けている方は、場合によっては控除を受けられない可能性があるのをご存知でしょうか?

本題に入る前に、まず、住宅ローン控除って何だっけという方のために少しだけ説明させていただきます。

住宅ローン控除とは、個人が住宅を購入等し、一定の要件を満たせば住宅ローン等の年末残価に応じて税額控除が受けられる制度となります。

この税額控除の要件の一つとして実際に住んでいるのが要件となります。

実際に住まずに人に貸していたり、遊ばせていたりするのはNGです。

ですが、実際問題、会社からの辞令で単身赴任しなければならない方にとっては、自己の都合ではないため特例的に税額控除の適用を認めています。

ただし、家族が引き続き取得した建物に居住しなければいけません。

国内で単身赴任される方はこれでいいのですが、海外へ単身赴任する方はもう少しだけ注意することがあります。

それは住宅の購入を平成28年4月1日以後に行っているか、あるいはそれ以前かによるかということです。

内容は以下となります。

     ↓

【平成28年4月1日以前取得等】

結論からお話しさせていただきますと、適用できません。

住宅ローン控除を受けられるのは平成28年の税制改正までは『居住者』に限られ、海外に住む『非居住者』には適用されない規定でした。

ただし、出国前までに税務署に対し一定の手続きを行っている場合において、帰国後に住宅ローン控除の残存期間が残っているときは、その残存控除期間につき、この控除の再適用を受けることはできます。

【平成28年4月1日以後取得等】

① 取得等の年に海外赴任する場合

取得から6ヶ月以内に家族が入居し、その年12月31日まで引き続き居住し、所有者本人が帰国後入居することを要件に、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

※所得税の納税管理人の届出書を出国時までに提出が必要になります。 

② 翌年以降に海外赴任する場合

一定の届出を出した上で住宅ローン控除を受けることができます。

なんで28年4月1日が境目に違うの?

…というのは税法の改正が適用されたタイミングの問題です。

遡っては適用されないため不公平な感じがしなくもないですが、法律で決まっているのでそうするしかないという話になります。

今回は単身の海外赴任する場合の住宅ローン控除について紹介させていただきました。

もし、会社から辞令が出た場合は皆様もこの話を思い出していただければ幸いです。

京都本部 中村


「三ちゃん企業」の節税方法

 会計の世界では法人のお金と個人のお金は別個独立した存在です。

 しかし、現実社会では、夫が社長で奥さんが経理担当者そして母親が事務員をしているような、いわゆる「三ちゃん企業」とういうのが存在します。

 この「三ちゃん企業」は会社のお金も社長のお金も、まとめて「自分たちのお金」と考えているケースが多々あります。

 例えば「三ちゃん企業」が社会保険に加入するとき社長さんは次のように考えます。

「えー!社会保険に加入したら保険料が倍になっちゃうよ!」

社会保険料は会社と個人で折半するので、個人の保険料が倍になることはありません。

しかし、「三ちゃん企業」の事業主は会社のお金も個人のお金もまとめて「自分たちのお金」ととらえているので、このような本音が出てくるのです。

それならば、節税方法も会社だけにとらわれず個人もひっくるめて考えればよいのではないでしょうか。

そこで、簡単な例として次の方法が考えられます(法人に所得があることが前提)。

  • 小規模共済とイデコ
  • 自宅を事務所兼用としている場合の家賃

上記方法を単独あるいは組み合わせることで節税は可能です。

小規模共済は月7万円(年額84万円)まで掛けられる将来の社長のための退職金で、掛金は全額所得税法では非課税になります(小規模共済は個人でしかかけられません)。

この制度を利用すると例えば社長の役員報酬を月3万円上げ、同時に3万円の小規模共済に加入する。

そうすれば、会社の経費が3万円×12か月=36万円増加する反面、個人の所得税は増加しない。つまり会社と個人をトータルすると36万円×法人税率分の節税が可能になります。

もちろん、単純に報酬を増やした場合には、社会保険料も増加する可能性もあります。

それを回避したければ、自宅兼事務所ならば不動産収入として賃貸料をもらうようにする(不動産所得の青色申告をしていれば不動産収入から10万円まで控除できるので尚可です)。

 このように、個人所得税の非課税枠をうまく利用すれば、会社の法人税の節税方法もきっと見つかるはずです。

もちろん節税も過度なやり方では世間に睨まれる恐れがあるので常識的な範疇で行うことをお勧めします。

茨城本部

大河原


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