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優和ビジネスブログ

税理士法人優和の全国のスタッフが交代で、会計・税務に関する役立つ情報を提供しています。

国税と地方税の情報共有について

会社様や我々会計事務所が行う年末年始業務の一つとして、法定調書合計表の提出というものがあります。これは、支払調書の合計金額をまとめた表を税務署に提出するもので、一部の支払調書については調書自体を添付して申告します。

付随業務として、給与支払報告書の各自治体への申告というものもあります。これは各従業員の個人住民税の計算に使用されるもので、それをもって自治体は個人の所得を把握します。税務署から扶養情報の誤りで、過去数年分の税金を徴収されたという経験をした方もいるかも知れませんが、その基礎情報は自治体から税務署へ提供されたものになります。

ところが最近、支払調書の内容について自治体から問い合わせを受けることが増えているようです。我々の認識だと、税務署から自治体へという情報の流れはないと思っていましたが、報酬料金や配当等の一定の支払調書については、電子データを通じて税務署から全ての市町村へ送られているようです。私も実際に問い合わせを受けた事がありますが、それも報酬料金についてでした。

また最近はマイナンバーがあり、突合も簡単になったことも、問い合わせが増えている一つの要因かもしれません。

支払調書以外の情報連携については、令和2年4月以降、別表十六を含む財務書類がeLTAXを通じて自治体に送付されているようです。自治体は減価償却資産がどれくらい保有しているかは把握できるようなので、国と自治体は連携されているという前提で申告作業を行う必要があります。

償却資産税の申告などについて、相談事やお困りのことがございましたら、税理士法人優和までご連絡ください。

東京本部 木村


業界団体等の懇親会費 飲食費総額の取り扱いについて

 年末年始が近づいてきました。この時期業界団体等の懇親会が増えてくると思います。業界団体等の懇親会の支出については、令和6年度の税制改正において平成6年4月1日以降支出する交際費等の範囲から除外する飲食費の金額基準が引き上げられ、1万円以下であれば損金に算入できることとなりました。(従来は5千円以下)ただし、参加者側において懇親会に要した飲食費総額を把握できている場合には、単に支出した懇親会費が1万円以下であるか否かに関わらず、飲食費総額を参加者で割った金額が1万円以下であるかの判定も必要になってきます。

(1)飲食費とは飲食等に要する費用の総額が前提となる

 ここでいう飲食費は、「飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額」であり、飲食等のために要する費用の総額をいいます。ここでいう飲食費の考え方は、改正前と後では同じですが、当該懇親会費の総額が把握できるのであれば、その飲食費総額を参加者全員で割った金額が1万円以下であるかどうかで判断することになります。したがって、計算した金額が1万円超の場合には、その超過分だけが交際費等に該当するのではなく、その全額が交際費等に該当することになるので注意が必要です。

 たとえば、懇親会に要した飲食費総額が130万円であり(会費として100人から1万円の会費を集め30万円を業界団体が支出した場合)、参加者が100人の場合には1人当たり1万3000円となりその全額が交際費等として損金不算入となります。

(2)飲食費総額の通知がない場合には支出した金額で判定

 業界団体等の懇親会が催される場合、その会員には実際は会費の提示のみがされることが多いと思います。懇親会に参加するたびに会員が飲食費等の総額を把握することは、実際は難しいと思われることから、飲食費の総額の通知がなく、かつ、その飲食等に要する1人当たりの費用の金額がおおむね1万円程度に収まると想定される場合には、その支出した金額で判定しても問題ないと思われます。

 これから、忘年会シーズンで様々な飲食費等の支出が考えられます。また、飲食等以外の項目にも様々な交際費等の支出が想定されます。交際費等に該当するか判断に迷う場合は、税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 佐藤芳明


修繕費と資本的支出の判断

 減価償却資産を修理したときや改良したときに、その支出は修繕費になるのか、はたまた資本的支出になるのかその処理に迷うことがあります。

 修繕費か資本的支出かの判断については、実務上「20万円基準」や「60万円基準」といった方法がよく使用されるのですが、この考え方について整理をしていきたいと思います。

 そもそも資本的支出とは、法人が所有する減価償却資産を改良することにより使用可能期間を延長させたり、その資産の価値を増加させた場合の費用が該当します。これに対して修繕費とは、減価償却資産の通常の維持管理に要する費用や原状回復のために要した費用が該当します。

 実務上判断に迷うのは、壊れた個所を修理するついでに部品をアップグレードして改良されたような場合、つまり修繕と資本的支出が同時に行われたときにどのように修繕費と資本的支出に区分するかが問題となります。

 こういったときにどのように区分するのかについては、法人税法施行令132条において「使用可能期間を延長させる部分に対応する金額」や「価額を増加させる部分に対応する金額」は資本的支出であるとしており、それ以外の部分が修繕費になると規定されています。

 しかし、使用可能期間を延長させる部分や価値を増加させる部分の金額をどのように算出するのか悩ましいところになります。もちろん大規模修繕や、大きな改良であれば手間やお金をかけた調査によって区分することも考えられますが、それほど高額ではない修理、改良の場合には区分が難しくなります。

 そこで、少額な修理、改良の場合には簡便な方法によって修繕費と資本的支出を区分することが認められています。これが「20万円基準」や「60万円基準」です。

 「20万円基準」は、ひとつの修繕や改良が20万円未満のときは、特に要件など気にせずに修繕費にできるというルールです。そのため、減価償却資産の部品を高性能なものに交換、改良したとしてもその金額が20万円未満であれば、修繕費として損金に算入することができます。

 もうひとつの「60万円基準」は、「修繕費と資本的支出の区分が明らかではないもの」に限って60万円未満であれば修繕費として損金に算入することができるというものになります。しかし、明らかに価値を高めたり、耐久性を増すための支出については、たとえ60万円未満であっても適用することができません。

 例えば修繕、改良に80万円かかったものの、そのうち30万円は明らかな資本的支出で、残りの50万円は資本的支出か修繕費かが明確ではない場合には、その30万円については資本的支出として取り扱い、残りの50万円については60万円基準を適用して修繕費にすることができます。

 最後になりますが、上述の20万円基準や60万円基準のほかに「10%基準」と呼ばれるものもあります。これは修繕費と資本的支出の区分が明らかではないもので、修理や改良の対象となった固定資産の前期末取得価額のおおむね10%相当額以下であるものについては修繕費として損金に算入することができるというルールです。

 10%基準も60万円基準と同様に「修繕費と資本的支出の区分が明らかではないもの」が対象ですので、明らかに資本的支出とわかる部分については適用することができません。

 このように、修繕費と資本的支出の判断は非常に難しいので、もし判断に迷われたときは税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 井上賢亮


法人版事業承継税制(特例措置)について

 事業承継時の贈与税、相続税の納税を猶予・免除する事業承継税制には、一般措置と特例措置の二つがあります。今回はこの特例措置について確認していこうと思います。

 特例措置の適用を受けるには、特例承認計画を都道府県に提出し確認を受ける必要があります。令和6年度税制改正により、この特例承認計画の提出期限が2年延長され、令和8年3月31日となりました。なお10年間限定の措置ですので、令和9年12月31日までに承継を行う必要があります。

 この制度のメリットとしては、特例承認計画を提出することで、自社株の贈与税、相続税の承継時の納税が全額猶予され、一定の要件を満たせば猶予された税額は免除されることです。また、最大3人の後継者への承継が可能なため、承継後に共同経営の形を取ることで後継者争いを回避出来たり、親族外後継者への利用も可能となっています。

 一方デメリットとしては、適用要件の複雑さに加え、免除決定までの期間が長く、猶予中に取消し事由(後継者が代表者でなくなった等)に該当した場合や毎年(5年経過後は3年に1回)の報告書・届出書の提出を失念した場合、猶予されていた税額+利子税の納付が発生することが挙げられます。

 その他にも適用にあたっては、将来の相続財産総額を抑えるために、自社株評価額が低いタイミング(退職金支給時など)での計画的な贈与を検討したり、遺産分割がもめそうな場合には遺留分に関する民法の特例(贈与株式を遺留分算定の財産から除外する制度)の検討も考えられます。もちろん事業承継税制以外の方法で株式を移転したほうがよいケースもございますので、適用の可能性がある場合には、計画提出期限までに一度ご相談頂ければと思います。

京都本部 白波瀬


定額減税についてよくある質問(番外編)

令和6年6月から所得税についての定額減税がスタートしました。
引き続き、顧問先からよくある質問ベストの番外編を紹介します。

番外編①
Q.賞与も定額減税できるの?
A.はい。賞与の場合も給与と同様に定額減税前の所得税と定額減税の金額を記載するなど定額減税前の所得税と定額減税の金額を受給者がわかるように記載する必要があります。

番外編②
Q.定額減税は今回だけなの?
A.はい。給与の上昇が物価上昇に追いつくまでの一時的な措置となります。

番外編③
Q.働いている扶養の配偶者がいると二重取りできるの?
A.基本的にはできませんが、配偶者が年収100万円超103万円以下の場合、例えば、納税義務者の控除対象者として夫が定額減税、個人住民税所得割の納税義務者として妻が定額減税を受けるということが起こりうるようです。
これに対し、政府は特に超過分の返還は求めないということで例外的に2重取りが可能とるようです。

以上

茨城本部 渡辺


定額減税についてよくある質問

令和6年6月から所得税についての定額減税がスタートしました。
顧問先からよくある質問ベスト5を紹介します。

第1位

Q.給与明細に所得税を記載するときに相殺して記載するのみでていいの?
A.いいえ。定額減税前の所得税と定額減税の金額を記載するなど定額減税前の所得税と定額減税の金額を受給者がわかるように記載する必要があります。

第2位

Q.控除しきれなかった場合は勝手に給付されるの?
A.いいえ。受給者が市役所等に受給申請しないと給付されません。
 なお、給付単位は1万円繰り上げになるため、1円給付の方でも1万円の給付があります。ちょっとお得です。

第3位

Q.定額減税の扶養家族の条件は所得税の扶養と同じ?
A.いいえ。本来所得税の扶養に該当しない16歳未満の親族も対象になります。

第4位

Q.合計所得金額が1,805万円(給与収入のみ2,000万円)以上の方も毎月定額減税するの?
A.はい。しかし毎月所得税から減税されますが、年末調整で加算されます。いわゆるぬか喜びで終わります。

第5位

Q.国外扶養者が10人程いますが、定額減税できる?
A.いいえ。国内の扶養親族しか対象になりません。
 ちなみに、本人が非居住者の場合には毎月の定額減税はできない場合があります。
 その代わり年末調整で減額されます。こちらは前問とは逆に年末調整でプチリッチな気分を味わえるかもしれません。

以上

茨城本部 大河内


暦年課税制度と相続時精算課税制度の選択適用

 令和5年度改正で暦年課税制度と相続時精算課税制度が改正されました。その改正では暦年課税制度は納税者にとっては厳しいものと、逆に相続時精算課税制度は使い勝手がよくなりました。

 暦年課税制度とは、1月から12月までに受けた贈与について課税する制度で、贈与者・受贈者とも制限がなく、年間110万円までの基礎控除枠内であれば税金がかかりません。ただし相続開始前の加算期間が、令和6年1月1日以降の贈与からは3年から7年に延長されました点注意が必要となります。孫への贈与は一般的に加算対象外となりますが、遺言により財産を取得、死亡保険金の取得、養子縁組、代襲相続により財産を取得する場合は、加算対象となりますので気を付けたいところです。

 一方、贈与により財産を取得した受贈者は暦年贈与に代えて相続時精算課税制度の適用を受けることを選択することができます。

 相続時精算課税制度は、贈与税を相続税の前払的なものとして相続税の課税時にその精算を行います。具体的には、親子間などの贈与で、令和5年改正で新設された年110万円の基礎控除と、特別控除額(累計2500万円まで)を控除して贈与税額を計算します。その後贈与者の相続発生時の財産額の計算には、基礎控除額を控除した贈与財産額を計上して相続税の計算をします。

 対象者は贈与者が60歳以上の父母、祖父母、受贈者が18歳以上の子、孫で、改正前は贈与の都度毎年税務署へ申告が必要でしたが、改正後は、基礎控除以下の贈与であれば申告不要となり、使い勝手がよくなりました。

また受贈者は贈与者ごとに課税方法を選択することができる一方、一度相続時精算課税制度を選択したら同じ贈与者からの贈与は暦年課税制度に戻れない、小規模宅地の特例が適用できないなどのデメリットもありますので、その選択に当たっては慎重に検討しなければなりません。

埼玉本部 瀬島


交際費等に係る飲食費について

 令和6年度税制改正により、令和6年4月1日以後に支出する飲食費について、交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が一人当たり5,000円以下から10,000円以下に引き上げられました。

 この10,000円基準の要件を満たすためには事業に関連のある者等の氏名又は名称、参加人数を帳簿に記載することが求められております。

 そもそも資本金1億円以下の中小企業の場合、一人当たりの上限を超えていても年間800万円までは損金算入となることから、あえてそれらの情報を記載することなく飲食費が交際費として計上されているケースが散見されます。

 このようなケースで800万円近い金額の飲食費が交際費に上がって、なおかつ同伴者が不明の場合、税務調査でもめる可能性が高いと思われます。

 完全なプライベートな飲食や特定の役員のみの支出であれば役員報酬と認定される可能性もあります。そうならないようにするためには、社内の人間との飲み会であってもたまに別の従業員が参加していれば、社内交際費扱いとなりますし、その中に事業に関連のある者が一人でもいれば社内交際費扱いもされず、10,000円基準を満たせば交際費等の範囲から除外することも可能です。

 結局のところ、飲食費に関してはあらぬ誤解を招かないよう参加者等の記載を怠らないことによって、効果的な節税策となることもありますので面倒くさがらず、領収書をもらった後にはメモをとる習慣をつけることをお勧めします。

埼玉本部 菅 琢嗣


定額減税について

 令和6年度の税制改正で定額減税が決定しました。
 所得税については1人あたり3万円。住民税については1人あたり1万円が減税されます。
 どちらも令和6年6月1日以降の分から減税されます。

 減税方法については所得税では令和6年6月以降支給の源泉徴収分から減税を行い、住民税は令和6年6月分を徴収せず、令和6年7月から令和7年5月までの11か月間で毎月特別徴収が行われることになります。(※給与所得者)

 そのため、実務処理がやや煩雑になると思われます。
 住民税は通知書がくるので特に問題はないですが、 所得税については減税の枠を使い切るまで源泉徴収なしになるため、従業員ごとに残高の管理が必要となります。給与ソフトで対応はされると思いますが、最初の扶養の確認や中途入社では年末調整での対応などが注意すべき点となってきます。

 扶養の所得をしっかりと確認していない場合には来年以降発覚すると源泉の追加徴収などが発生するためしっかりと確認しておきたいですね。
 興味・質問等ございましたら、ぜひ税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 有本


令和6年度税制改正について

 今年も税制改正の内容を勉強する時期になりました。初めの感想としては、色んな分野で改正があるなという印象でした。実務処理に影響がある改正も含まれているので、例年より増して関与先のお客様に丁寧にお伝えしなければいけないなと感じています。

 特に今回の目玉政策(?)である所得税・個人住民税の定額減税については、給与計算を行う方であれば、6月から影響がありますので、場合によっては早めの準備が必要になります。

 制度の概要としては、令和6年分の「所得税」から本人、同一生計配偶者及び扶養親族1名につきそれぞれ3万円控除し、「個人住民税」からは、本人、控除対象配偶者及び扶養親族1名につきそれぞれ1万円控除するというものになります。(細かな所得制限等がありますので、詳細はお問い合わせください)

 その減税を受ける時期ですが、①給与所得者であれば6月分の給与から、②個人事業主であれば第1期(予定)納税額から、③年金受給者であれば6月以降に最初に受ける年金から、それぞれ減税が開始されます。

 上記②と③の方については自動的に計算してくれますが、①の方は給与支払者が従業員ごとに細かな計算を行う必要があります。今まで手書きで給与明細書を作成しているという方も、これを機に給与ソフトを導入するという選択肢も増えてくるとは思います。

 この制度の注意点としては、令和6年度の税額は最終的には年末調整や確定申告ではじめて確定するので、年度中に扶養の異動がある方等は年末調整で徴収されるということもあり得るので、そこは従業員の方にも説明が必要です。

 この他、賃上げ促進税制、事業承継税制、交際費課税、M&A税制等で改正・延長が行われておりますので、詳細を確認したいということであれば、税理士法人優和までご連絡ください。

東京本部 木村


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