
税理士法人優和の全国のスタッフが交代で、会計・税務に関する役立つ情報を提供しています。
先日(8月29日)に、国税庁が「令和7年分の年末調整のしかた」を公表しました。今年は、12月1日より施行される所得税の基礎控除や給与所得等の見直し、特定親族特別控除の創設などがあるため、これについて改めて確認していきたいと思います。
(1)所得税の基礎控除の見直し等特定親族特別控除を年調で適用
令和7年12月1日から基礎控除や給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件等が改正されます。これらの改正により、会社は新たに扶養控除等の対象となった扶養親族等がいないか従業員に確認する必要があります。そのため、新たに扶養控除等の対象となった親族等がいる場合には、従業員等からその旨を記載した扶養控除等申告書の提出を受ける必要あります。
19歳以上23歳未満で合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入123万円超
188万円以下)の親族(特定親族)がいる場合には、その従業員等は新たに「特定親族特別控除」の適用を受けることができます。そのため、年末調整では特定親族特別控除の適用を受ける従業員等から、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」(基礎控除申告書等との兼用様式)の提出を受けることが必要となります。
この場合、改正後の基礎控除等や改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づき年末調整の計算を行うことになるので注意が必要です。
(2)年末残高調書を用いた方式(調書方式)による住宅借入金等特別控除について
これについては、令和7年分の年末調整から、調書方式で住宅ローンを適用する従業員等への対応が必要となります。調書方式とは、金融機関等が税務署に提供した情報に基づき、国税当局から従業員等本人に住宅借入金等の年末残高情報を提供する方式になります。調書方式に対応した金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出した従業員等は、調書方式で住宅ローン控除を適用することになります。
調書方式の場合には、従業員等が会社に提出する「給与所得者の住宅借入金等の特別控除申告書兼年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」に、「住宅取得資金に係わる借入金の年末残高等証明書」の添付が不要となります。
令和7年度の年末調整に関しては、上記の様に様々な改正点があります。ご不明な点は税理士法人優和までお問い合わせください。
東京本部 佐藤芳明
令和7年も気が付けば残り4か月。ふるさと納税を考えている方もいるのではないでしょうか。
そのふるさと納税をする際、ポータルサイトを通じて各地方団体に寄附を行った場合のポイント等の付与が、令和7年10月から禁止されることはご存じでしょうか。
ポータルサイトでのポイント等が付与されるのは9月末までとなります。
ふるさと納税制度では、適正な運用を確保する観点から、制度趣旨に反する一定の募集を行う地方団体を指定団体として認めないこととしています。
禁止される一定の募集方法には、「特定の者に対して謝金等の供与を行うなどの不当な方法による募集」などがあります。
令和6年6月28日の告示改正により、令和7年10月から、禁止対象に「寄附に伴って寄附者に対し金銭その他の経済的利益を提供する者を通じた募集」などが加わりました。
各地方団体がポータルサイトに委託料を支払って、返礼品等の情報を掲載してもらうこと自体は、禁止される募集方法のいずれにも該当しないのですが、寄附者がポータルサイトを通じて寄附を行い、ポータルサイトから寄附者に付与されるポイント等は、上記の「寄附に伴って寄附者に対し金銭その他の経済的利益」に該当するのです。
現行では、各ポータルサイトが定める還元率に応じて、寄附額の一定割合のポイントやマイル等が直接的に寄附者に還元される仕組みのほか、ポイントサイト等を経由してポータルサイトに遷移し寄附を行った際に寄附に伴って間接的にポイント等が付与される仕組みなどが存在します。
令和7年10月からは、直接、間接を問わず、いずれの仕組みも上記の「寄附に伴って寄附者に対し金銭その他の経済的利益」に該当するものとして禁止されてしまいます。
ふるさと納税を検討している方は、早めに寄付をされた方がよさそうですね。
また、ふるさと納税をした場合は確定申告が必要になります。ご不明な点がありましたら、税理士法人優和へお問い合わせください。
東京本部 渡辺
毎年住民税は、会社員の特別徴収であれば6月給与から差し引かれ、自営業者など普通徴収であれば6月末が納付期限となっていますので、それぞれ手元に計算根拠となっている資料等が市町村から届きます。昨年の年末調整または確定申告で所得税が0円であっても、住民税は課税されたといったようなケースで驚かれる方多いかと思われます。最近、テレビ等において、給付金の支給にあたり住民税非課税世帯といった内容がありました。
住民税は所得割と均等割で構成されていて、ここにいう住民税非課税世帯は所得割と均等割の両方が非課税になる世帯を指します。要件は各自治体により基準額が異なる場合がありますが、該当するか否かによって国民健康保険料・国民年金保険料の減免措置、医療費に係る高額療養費制度の自己負担額の上限額、保育料や学校教育での支援制度、さらには話題となっている給付金の+α部分の話が異なってきます。
また、年金法案において、現在従業員50人以上の企業でパート等の社会保険の強制加入となっているところ、従業員の人数を撤廃が行われますので、住民税を考える際には注意が必要です。
住民税の計算は、前年の所得に対して世帯の構成等の事情を加味して計算がされます。7月に入り、一年の折り返しもすぎました。年末に近づくにつれて慌てることのないように計画的に進めてください。わからないことがございましたら、税理士法人優和にご相談ください。
京都本部 谷田
相続税の税務調査の際、申告漏れが指摘されやすいものとして名義預金があります。相続面談をしていると「専業主婦ですが夫からもらった生活費の残りをへそくりとして何十年と自分の口座に入金してきました。税金はかかりますか?」とか、「お爺ちゃんが孫名義の口座でこっそりと毎年コツコツ貯めていたようです。毎年110万円以内ですから生前贈与ですよね?」とご質問をいただくことがありますが、これらは名義預金(ご主人やお爺さまの相続財産)となる可能性が高いです。預金口座の名義が被相続人(亡くなった方)と違うのにどうして?贈与で一部時効じゃないの?と疑問を持たれる方が多いですが、実質的な預金者は被相続人と考えられるので、贈与は成立してないと税務署側は判断します。つまり、ご主人はへそくり分を贈与(あげた)と認識していないし、お孫さんはその口座の存在を知らないので贈与とはならない(贈与は成立していない)のです。
こういった場合、名義預金ではなく本当は贈与なのであればその証拠を残す必要があります。まず口座の管理は名義人本人が行うこと、そして贈与の都度贈与契約書を作成しておきます。年間の贈与額が110万円を超える場合には、名義人において贈与税の申告及び納付も必要となります。贈与税の申告は贈与の事実を税務署に報告する一つの手段であるので、あえて110万円超を贈与し贈与税申告をされるケースもございます。
相続税対策として生前贈与をされる際には、名義預金とみなされる資金移動になっていないかくれぐれもご注意ください。名義預金や相続税申告に関するご相談がございましたら、税理士法人優和までご連絡ください。
京都本部 白波瀬
昨年の12月に令和7年度の税制改正大綱が公表されました。
今回の目玉としてはニュースでも話題になっていた個人所得税の基礎控除及び給与所得控除の引き上げかと思われます。(103万円の壁)
給与所得者に関しては所得税が課税されない給与収入額が、103万円から123万円となります。
内訳としては基礎控除が48万円から58万円に、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられることとなります。
また、19歳以上23歳未満の親族のいる親等が扶養控除を受けるためには、従来は給与収入額が103万円以下でなければいけませんでしたが、特定親族特別控除(仮称)の創設により19歳以上23歳未満の親族の給与収入が150万円に達するまでは今までの特定扶養親族と同じく63万円の控除を受けることができるようになります。
住民税も同じく控除額の引き上げが行われております。所得税が2025(令和7)年分以後の所得税について適用で、住民税は2026(令和8)年度分以後の住民税について適用となります。
※住民税は2025(令和7)年の所得をもとに2026(令和8)年の税額が決まるため
興味・質問等ございましたら、ぜひ税理士法人優和までご相談ください。
東京本部 有本
会社様や我々会計事務所が行う年末年始業務の一つとして、法定調書合計表の提出というものがあります。これは、支払調書の合計金額をまとめた表を税務署に提出するもので、一部の支払調書については調書自体を添付して申告します。
付随業務として、給与支払報告書の各自治体への申告というものもあります。これは各従業員の個人住民税の計算に使用されるもので、それをもって自治体は個人の所得を把握します。税務署から扶養情報の誤りで、過去数年分の税金を徴収されたという経験をした方もいるかも知れませんが、その基礎情報は自治体から税務署へ提供されたものになります。
ところが最近、支払調書の内容について自治体から問い合わせを受けることが増えているようです。我々の認識だと、税務署から自治体へという情報の流れはないと思っていましたが、報酬料金や配当等の一定の支払調書については、電子データを通じて税務署から全ての市町村へ送られているようです。私も実際に問い合わせを受けた事がありますが、それも報酬料金についてでした。
また最近はマイナンバーがあり、突合も簡単になったことも、問い合わせが増えている一つの要因かもしれません。
支払調書以外の情報連携については、令和2年4月以降、別表十六を含む財務書類がeLTAXを通じて自治体に送付されているようです。自治体は減価償却資産がどれくらい保有しているかは把握できるようなので、国と自治体は連携されているという前提で申告作業を行う必要があります。
償却資産税の申告などについて、相談事やお困りのことがございましたら、税理士法人優和までご連絡ください。
東京本部 木村
年末年始が近づいてきました。この時期業界団体等の懇親会が増えてくると思います。業界団体等の懇親会の支出については、令和6年度の税制改正において平成6年4月1日以降支出する交際費等の範囲から除外する飲食費の金額基準が引き上げられ、1万円以下であれば損金に算入できることとなりました。(従来は5千円以下)ただし、参加者側において懇親会に要した飲食費総額を把握できている場合には、単に支出した懇親会費が1万円以下であるか否かに関わらず、飲食費総額を参加者で割った金額が1万円以下であるかの判定も必要になってきます。
(1)飲食費とは飲食等に要する費用の総額が前提となる
ここでいう飲食費は、「飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額」であり、飲食等のために要する費用の総額をいいます。ここでいう飲食費の考え方は、改正前と後では同じですが、当該懇親会費の総額が把握できるのであれば、その飲食費総額を参加者全員で割った金額が1万円以下であるかどうかで判断することになります。したがって、計算した金額が1万円超の場合には、その超過分だけが交際費等に該当するのではなく、その全額が交際費等に該当することになるので注意が必要です。
たとえば、懇親会に要した飲食費総額が130万円であり(会費として100人から1万円の会費を集め30万円を業界団体が支出した場合)、参加者が100人の場合には1人当たり1万3000円となりその全額が交際費等として損金不算入となります。
(2)飲食費総額の通知がない場合には支出した金額で判定
業界団体等の懇親会が催される場合、その会員には実際は会費の提示のみがされることが多いと思います。懇親会に参加するたびに会員が飲食費等の総額を把握することは、実際は難しいと思われることから、飲食費の総額の通知がなく、かつ、その飲食等に要する1人当たりの費用の金額がおおむね1万円程度に収まると想定される場合には、その支出した金額で判定しても問題ないと思われます。
これから、忘年会シーズンで様々な飲食費等の支出が考えられます。また、飲食等以外の項目にも様々な交際費等の支出が想定されます。交際費等に該当するか判断に迷う場合は、税理士法人優和までご相談ください。
東京本部 佐藤芳明
減価償却資産を修理したときや改良したときに、その支出は修繕費になるのか、はたまた資本的支出になるのかその処理に迷うことがあります。
修繕費か資本的支出かの判断については、実務上「20万円基準」や「60万円基準」といった方法がよく使用されるのですが、この考え方について整理をしていきたいと思います。
そもそも資本的支出とは、法人が所有する減価償却資産を改良することにより使用可能期間を延長させたり、その資産の価値を増加させた場合の費用が該当します。これに対して修繕費とは、減価償却資産の通常の維持管理に要する費用や原状回復のために要した費用が該当します。
実務上判断に迷うのは、壊れた個所を修理するついでに部品をアップグレードして改良されたような場合、つまり修繕と資本的支出が同時に行われたときにどのように修繕費と資本的支出に区分するかが問題となります。
こういったときにどのように区分するのかについては、法人税法施行令132条において「使用可能期間を延長させる部分に対応する金額」や「価額を増加させる部分に対応する金額」は資本的支出であるとしており、それ以外の部分が修繕費になると規定されています。
しかし、使用可能期間を延長させる部分や価値を増加させる部分の金額をどのように算出するのか悩ましいところになります。もちろん大規模修繕や、大きな改良であれば手間やお金をかけた調査によって区分することも考えられますが、それほど高額ではない修理、改良の場合には区分が難しくなります。
そこで、少額な修理、改良の場合には簡便な方法によって修繕費と資本的支出を区分することが認められています。これが「20万円基準」や「60万円基準」です。
「20万円基準」は、ひとつの修繕や改良が20万円未満のときは、特に要件など気にせずに修繕費にできるというルールです。そのため、減価償却資産の部品を高性能なものに交換、改良したとしてもその金額が20万円未満であれば、修繕費として損金に算入することができます。
もうひとつの「60万円基準」は、「修繕費と資本的支出の区分が明らかではないもの」に限って60万円未満であれば修繕費として損金に算入することができるというものになります。しかし、明らかに価値を高めたり、耐久性を増すための支出については、たとえ60万円未満であっても適用することができません。
例えば修繕、改良に80万円かかったものの、そのうち30万円は明らかな資本的支出で、残りの50万円は資本的支出か修繕費かが明確ではない場合には、その30万円については資本的支出として取り扱い、残りの50万円については60万円基準を適用して修繕費にすることができます。
最後になりますが、上述の20万円基準や60万円基準のほかに「10%基準」と呼ばれるものもあります。これは修繕費と資本的支出の区分が明らかではないもので、修理や改良の対象となった固定資産の前期末取得価額のおおむね10%相当額以下であるものについては修繕費として損金に算入することができるというルールです。
10%基準も60万円基準と同様に「修繕費と資本的支出の区分が明らかではないもの」が対象ですので、明らかに資本的支出とわかる部分については適用することができません。
このように、修繕費と資本的支出の判断は非常に難しいので、もし判断に迷われたときは税理士法人優和までご相談ください。
東京本部 井上賢亮
事業承継時の贈与税、相続税の納税を猶予・免除する事業承継税制には、一般措置と特例措置の二つがあります。今回はこの特例措置について確認していこうと思います。
特例措置の適用を受けるには、特例承認計画を都道府県に提出し確認を受ける必要があります。令和6年度税制改正により、この特例承認計画の提出期限が2年延長され、令和8年3月31日となりました。なお10年間限定の措置ですので、令和9年12月31日までに承継を行う必要があります。
この制度のメリットとしては、特例承認計画を提出することで、自社株の贈与税、相続税の承継時の納税が全額猶予され、一定の要件を満たせば猶予された税額は免除されることです。また、最大3人の後継者への承継が可能なため、承継後に共同経営の形を取ることで後継者争いを回避出来たり、親族外後継者への利用も可能となっています。
一方デメリットとしては、適用要件の複雑さに加え、免除決定までの期間が長く、猶予中に取消し事由(後継者が代表者でなくなった等)に該当した場合や毎年(5年経過後は3年に1回)の報告書・届出書の提出を失念した場合、猶予されていた税額+利子税の納付が発生することが挙げられます。
その他にも適用にあたっては、将来の相続財産総額を抑えるために、自社株評価額が低いタイミング(退職金支給時など)での計画的な贈与を検討したり、遺産分割がもめそうな場合には遺留分に関する民法の特例(贈与株式を遺留分算定の財産から除外する制度)の検討も考えられます。もちろん事業承継税制以外の方法で株式を移転したほうがよいケースもございますので、適用の可能性がある場合には、計画提出期限までに一度ご相談頂ければと思います。
京都本部 白波瀬
令和6年6月から所得税についての定額減税がスタートしました。
引き続き、顧問先からよくある質問ベストの番外編を紹介します。
番外編①
Q.賞与も定額減税できるの?
A.はい。賞与の場合も給与と同様に定額減税前の所得税と定額減税の金額を記載するなど定額減税前の所得税と定額減税の金額を受給者がわかるように記載する必要があります。
番外編②
Q.定額減税は今回だけなの?
A.はい。給与の上昇が物価上昇に追いつくまでの一時的な措置となります。
番外編③
Q.働いている扶養の配偶者がいると二重取りできるの?
A.基本的にはできませんが、配偶者が年収100万円超103万円以下の場合、例えば、納税義務者の控除対象者として夫が定額減税、個人住民税所得割の納税義務者として妻が定額減税を受けるということが起こりうるようです。
これに対し、政府は特に超過分の返還は求めないということで例外的に2重取りが可能とるようです。
以上
茨城本部 渡辺